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意見書・決議(議員提出議案第16~20号)

更新日 : 2025年6月13日
ページ番号:000176108

議員提出議案第16号・地方消費者行政に対する恒久的な財源確保等を求める意見書

 消費者被害を防ぐためには、相談体制の確保、消費者教育や啓発など、地方消費者行政の充実・強化が図られなければなりませんが、国が措置し地方消費者行政の下支えとなってきた地方消費者行政強化交付金は、令和7年度末には多くの地方公共団体で活用期間が終わるため、交付金を活用して実施してきた相談体制の維持や、消費者教育や啓発に係る事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政の後退・縮小が懸念されます。

 また、被害の防止・救済の根幹である消費生活相談においては、全国的に消費生活相談員の高齢化等による担い手不足が深刻な問題となっています。そこで、消費生活相談員の担い手を確保し、安定的に業務を継続できるよう雇用形態や処遇等の改善が求められており、国の主導による速やかな制度設計と予算措置を行うことが必要です。

 さらに、消費生活相談のデジタル化に向け、国は全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)に代わる新たなシステムの整備を予定していますが、端末の設置費用や、セキュリティ対策の継続的な更新費用などは、地方公共団体の負担とされており、これらの経常的費用も国の責任で措置すべきです。

 よって、本市議会は、政府に対し、次の措置を講じるよう強く要請します。

1 地方公共団体の財政事情によることなく、地方消費者行政を安定的に推進するための恒久的な財源を措置すること。

2 消費生活相談員の安定的な確保と処遇等の改善に係る制度設計に必要な予算措置を講じること。

3 国が進める消費生活相談デジタル化に係る予算を国の責任で措置すること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

議員提出議案第17号・子どもたちの豊かな学びの保障と学校の働き方改革の確実な推進に係る意見書

 今、学校現場では、教職員希望者の減少に加え、病気休職者の増加や早期退職者の増加等を要因とした深刻な教職員不足によって子どもたちの学びに大きな支障が生じています。持続可能な学校の実現のためには、教職員の勤務環境の改善、とりわけ長時間労働の是正が喫緊かつ最大の課題です。

 「経済財政運営と改革の基本方針2024」では、質の高い教職員の確保・育成について「2026年度までの集中改革期間を通じてスピード感をもって、働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進める」としています。しかし、長時間労働を是正するためにはこれだけでは不十分であり、抜本的な改善策として、具体的な業務削減、業務負担軽減につながる教職員定数改善等を策定・実施すべきです。

 また、小学校、中学校及び高等学校を合わせると、2023年度は不登校児童生徒数が41万人を超えることが、文部科学省の調査で明らかになっています。とりわけ小学校及び中学校では11年連続で増加し、過去最多となっています。加えて、学校現場では、貧困・いじめ・教職員の未配置等、解決すべき課題が山積しており、子どもたちの豊かな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっています。

 学習指導要領の改訂は、子どもたちの豊かな学びの保障や、教職員の「働き方改革」に大きくかかわります。この学習指導要領を含む国の教育課程基準に基づき、学校が定めた教育課程の授業時数と内容が過多になっていて、子どもや教職員に過大な負担がかかっている状態(以下「カリキュラム・オーバーロード」という。)等を改善することが喫緊の課題です。このため、次期学習指導要領の内容の精選や標準授業時数の削減が強く求められます。

 よって、本市議会は、国会及び政府に対し、持続可能な学校の実現と子どもたちの豊かな学びの保障のため、次の措置を講じるよう強く要請します。

1 きめ細やかな教育を実現する観点から、中学校の35人以下学級の早期実現を目指すこと。

2 加配教員の増員や少数職種の配置増等、教職員定数改善を確実に進めるとともに、その推進のために必要な財源を確保すること。特に、義務教育費国庫負担制度の負担割合を引き上げること。

3 教職員の負担軽減を図る観点から、国として具体的業務削減策を示すこと。

4 カリキュラム・オーバーロードの是正を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

議員提出議案第18号・民生委員・児童委員の担い手確保を求める意見書

 民生委員・児童委員(以下「民生委員」という。)制度は100余年の歴史を持ち、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員である民生委員は、全国で約23万人が無報酬で高齢者の見守りや住民の相談に応じ、行政とのつなぎ役になっています。民生委員については任期が3年と定められており、本年11月末をもって全ての委員の任期が終了します。

 急速な高齢化の進行や世帯構造の変化、さらに住民が抱える生活・福祉課題が多様化、深刻化している中、その相談支援に当たる民生委員の役割が一層大きくなっています。特に近年では、一人暮らしの高齢者の孤立防止など、高齢者世帯の日常生活に関する支援が大幅に増加しているほか、災害に備えた要配慮者対策、消費者トラブル防止への協力、子どもや家庭の地域での見守りなど、幅広い分野での期待が高まっています。このように民生委員の重要性は増しているにもかかわらず、近年は逆に、充足率が低下傾向にあります。今後とも民生委員が地域福祉推進の担い手としての役割を果たしていくためには、民生委員の適正な確保と活動しやすい環境整備を進めていくことが極めて重要です。

 民生委員は、民生委員法第10条で「給与を支給しない」と定められ、無償のボランティアとされており、活動に係る費用は自治体から支給されているのが現状ですが、このままでは民生委員制度が立ちゆかなくなってしまいます。今後も同制度を維持していくには、行政の下請け的になっている業務の現状を見直し、民生委員の負担軽減を図る必要があります。

 総務省は本年3月、こうした業務の一部が民生委員の負担になっているとして、厚生労働省などに運用を見直すよう要請しました。廃止や効率化ができる業務がないか点検し、生活保護や介護で日常的に住民と接する自治体職員との役割分担も検討課題です。仕事と民生委員の活動を両立できるよう、環境を整備することも重要です。

 よって、本市議会は、政府に対し、民生委員の担い手不足が大きな課題となっている現状を踏まえ、我が国社会の財産とも言える民生委員制度を維持・発展させていくために、次の措置を講じるよう強く要請します。

1 民生委員の担い手確保に対する抜本的な対策会議を設立すること。

2 各自治体に対して、民生委員の担い手確保のための財政支援を行うこと。

3 民生委員の業務負担軽減のため、活動記録を簡易化すること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出します。

議員提出議案第19号・事前復興まちづくり計画の策定支援を求める意見書

 首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震等の大規模地震やそれに伴う津波被害、近年、激甚化、頻発化する豪雨災害などの大規模災害への備えが、ますます重要になってきています。

 大規模な災害が発生し、市街地をはじめインフラが壊滅的な被害を受けた場合、被災市町村は復興まちづくり事業に取り組むことになりますが、市街地等の基盤整備は、産業や住宅、教育等の分野の基盤として他分野の復興まちづくり事業に先立って実施する必要があり、そのためにも、早期の復興まちづくり計画の策定、事業着手、事業完了が求められます。

 このため、事前に、人口減少や少子高齢化社会を考え、復興後に想定される居住人口や産業の規模に対し、適切な規模での復興まちづくりの目標や実施方針を検討しておくことは、被災後に復興まちづくり方針・計画を早期に策定し、適切な規模で被災地を復興し、より良い復興を実現するために重要な取組となります。

 また、大規模な災害が発生した際には、大規模災害からの復興に関する法律に基づき、国は特別の必要があると認められるときは復興の基本方針を定めるとともに、都道府県においても復興方針を定めることができるとなっており、市町村でも、これらに基づき復興計画を策定することができるとしています。

 これらの背景を受け国土交通省では、地方公共団体が復興まちづくりをイメージした目標像の検討や、その実施方針の検討等を通じた事前復興まちづくり計画の事前の策定に焦点をあてた「事前復興まちづくり計画検討のためのガイドライン」を策定しました。

 一方、地方公共団体の復興事前準備の取組状況は、令和6年7月末時点で着手率が約67パーセントとなり、取組は一定程度定着してきていると考えられますが、復興体制や復興手順の検討にとどまっている現状となっています。

 被災後に迅速な復興まちづくりを行うには、平時から災害が発生した際のことを想定し、事前に体制と手順の検討、建物や土地利用状況などの必要なデータの整理、復興まちづくりの目標の検討などを行う復興事前準備に取り組むことが重要となります。

 よって、本市議会は、政府に対し、事前復興まちづくり計画策定に関して、防災・安全交付金による支援や同計画の策定を検討・実施する自治体に対する技術的助言などの支援の強化を強く要請します。

 以上、地方自治法第99条に基づき意見書を提出します。

議員提出議案第20号・地方財政の充実・強化に関する意見書

 今、地方公共団体には、急激な少子高齢化に伴う社会保障制度の整備、子育て施策、人口減少下における地域活性化対策はもとより、自治体DXの推進、脱炭素化、物価高騰対策等、極めて多岐にわたる新たな役割が求められています。加えて、多発する大規模災害への対応や新興感染症への備えも求められる中、地域公共サービスを担う人員は圧倒的に不足しており、職場における疲弊感は日々深刻化しています。

 政府はこれまでいわゆる骨太の方針に基づき、地方一般財源の前年度水準を確保する姿勢を示してきました。しかし、増大する行政需要、また不足する人員体制に鑑みれば、今後はより積極的な財源確保が求められます。

 よって、本市議会は、政府に対し、2026年度政府予算と地方財政の検討に当たっては、現行の地方一般財源水準確保より積極的に踏みだし、社会全体として求められている賃上げ基調にも相応する人件費の確保を含めた地方財政を実現するため、次の措置を講じるよう強く要請します。

1 社会保障の充実、地域活性化、自治体DXの推進、脱炭素化、物価高騰対策、防災・減災、地域公共交通の再構築等、増大する地方公共団体の財政需要を的確に把握するとともに、それを支える人件費を重視しつつ、現行の水準にとどまらない、より積極的な地方財源の確保・充実を図ること。

2 とりわけ、子育て対策、地域医療の確保、介護や生活困窮者の自立支援等、より高まりつつある社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫していることから、引き続き、地方単独事業分も含めた十分な社会保障経費の拡充を図ること。特に、これらの分野を支える人材確保に向けた自治体の取り組みを十分に支える財政措置を講じること。

3 地方交付税の法定率を引き上げるなど、引き続き臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立に取り組むこと。また、地域間の税源偏在性の是正に向けては、所得税や偏在性がより小さい消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、より抜本的な改善を行うこと。

4 政府として減税政策を検討する際は、地方財政を毀損することがないよう、あらかじめ国と地方の協議の場を活用するなどし、特段の配慮を行うとともに、地方財政への影響が想定される場合は、確実にその補填を行うこと。

5 地方創生推進費として確保されている1兆円については、現行の財政需要において不可欠な規模であることから、恒久的財源としてより明確に位置付けること。

6 会計年度任用職員においては、2024年度から勤勉手当の支給が可能となったものの、今後も当該職員の処遇改善や雇用確保が求められることから、引き続き、その財政需要を十分に満たすこと。

7 自治体情報システムの標準化・共通化に向けては、その移行に係る経費はもとより、移行の影響を受けるシステムの改修経費や大幅な増額が見込まれるシステム運用経費まで含め、必要な財源を補填すること。また、戸籍等への記載事項における氏名の振り仮名の追加やマイナンバーカードと健康保険証・運転免許証の一体化等、自治体DXの推進に伴うシステム改修や事務負担、人件費の増大が想定される際は、十分な財政支援を行うこと。

8 地域の活性化に向けて、その存在意義が改めて重視されている地域公共交通について、公共交通専任担当者の確保を支援するとともに、こども・子育て政策と同様、普通交付税の個別算定項目に位置付け、一層の施策充実を図ること。

9 自治体の行う事業において、労務費の適切な価格転嫁が果たされるよう、必要な財政支援を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出します。

このページの作成者

市議会事務局政策調査課
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