製造・デザイン・伝統工芸と3Dプリンターを繋ぎ、
すべてのものづくりにイノベーションを起こす株式会社Boolean。

株式会社Boolean 代表取締役CEO 濱崎 トキさん
写真:ブーリアン様1

―御社の事業内容を教えて下さい

事業の中に3Dプリンターを導入したい企業団体様向けへの3Dプリンター導入事業、3Dプリントの代行などを主な事業としています。ただ3Dプリンターを使えればいいというものではなく、作業効率化、人件費削減、材料費削減、その他3Dプリンターを活用した新しいモノづくりなどのノウハウを含めた支援を行っています。3Dプリンターの装置一つにしてもその機能範囲は多種多様で、導入費用も数万円とお手軽なものから数億円するようなものもあります。導入の際に、クライアント様の課題やニーズを聞き、どの機種が最適であるか、その選定や実際の運用、活用法の提示に至るまで一貫してコンサルを行っています。3Dプリンターの存在自体は一般的に認知されていますが、そのポテンシャルを最大限に活用できているところは極少数のように感じます。

― 一般的な認識だとCADデータを作成してボタンを押せばそのとおりの物体が出力される、といったところでしょうか

はい、でもそれだけでは全く足りません。ブーリアンでは、DfAM(Design for Additive Manufacturing)※下記図参照 をベースとした3Dprinting を提案しています。実際に弊社でコンサルティングを行っているところの実績をいくつか紹介しますね。

DfAMをベースとした3Dプリンター
写真:ブーリアン様2

例えばクラウン製パン株式会社様。これは、Booleanとしての初めてのコンサル案件です。今まで使っていたパン製造に関する治具を3Dプリンターで製作しました。もともとアルミ製の治具を使われていたのですが、重い、汚れやすい、費用が高いなど使いにくい点もあったようです。製造工場内に3Dプリンターを設置することで治具の内製化を実現しています。プラスティックは金属よりも安価ですし、なによりCADデータさえ作れば、数十分でパーツが完成することもあります。今まで治具を外注していた費用も大幅に抑えることができますし、製作のスピードも大幅に向上しました。治具製作が安くすぐにできるため、当然パン生産効率も向上します。

3Dプリンターとパーツ
写真:ブーリアン様3

情報通信機器メーカーの株式会社カンノ製作所様では、今まで外部から購入していたパーツを、工場内に設置した3Dプリンターでの内製に一部置き換えました。製造費に関して言うと、従来の約95%のコストを削減できる計算になります。製造費単体のメリットだけでなく、変更が簡単な3Dデータから直接作るので、小ロットでの形状変更も簡単になりますね。「95%も費用削減できる」という点に驚かれる方もいるのですが、3Dプリンターの活用を実務レベルに落とし込めば、これくらいのことはごく簡単に実現します。テクノロジー先進各国ではすでに3Dプリンターを活用した生産メンテナンスモデルも一般化していますし、建築、自動車、デザイン、アート産業に至るまで3Dプリンターの導入・実用がはじまっています。

―3Dプリンター導入には計り知れない可能性があるように感じます

3Dプリンターは単に治具やパーツの製造だけでなく、その周辺環境の改善を行うこともできます。渡辺鉄工株式会社様とのロボットアーム部品開発がいい例です。既存のアルミ削り出しから、3Dプリンターでの置き換えを行いました。CFRPという軽量かつ高耐久の素材を使い、しかもトポロジー最適化という技法を活用した肉抜きを施し、強度や耐久性をほぼ損ねることなく85%の軽量化を実現しました。

CFRP
写真:ブーリアン様4

この事例ではアームパーツだけですが、その他の部分も3Dプリントによって軽量化が可能です。そうすれば低出力で稼働出来るようにもなり、安全性の面でもメリットが出せる可能性があります。それとやっぱり、現場それぞれでのロボットのカスタムが必要な業界では、すぐにパーツ製造できる3Dプリンターならではのメリットが活かしやすい領域だと思いますね。

―工場にとって治具やパーツの内製化にはメリットしかないように感じますが、その導入指導について教えていただけますか

3Dプリンターを起点としたコンサルを行っているのがブーリアンだと考えています。適切な3Dプリンターの紹介や3D造形だけではなく、お客様の持つ課題やニーズを汲み取った上で適切な機材の選定からその使い方の指導、アフターフォローを行い、いずれ3Dデータの作成から3D造形、実使用までを内製化できるようサポートしています。3Dプリンター業界も日進月歩で、世界中でより高性能な装置も開発され続けています。常にアップデートが進む業界ですから、その情報を追い自身の目で見て触れてみながら、よりよい提案を続けられるよう努力しているつもりです。

―世界における3Dプリンター事情について少しお話いただけますか

正直なところ日本での3Dプリンター活用は遅れています。一昨年から中国深圳の3Dプリンター関連企業や、3Dプリンター先進国であるドイツの展示会などに足を運んでいるのですが、驚くと思いますよ。例えば、下の写真は最近実際に中国で見てきたものです。

中国 3Dプリンターを使用した造形
写真:ブーリアン様5

これだけ大きなものもすべて3Dプリンターを使い一体で造形しています。他の方法では加工の難しい複雑な形状も、簡単に実現できます。また少しデジタルデータの話をすると、3Dプリンティングに関連するキーワードとしてGenerative Designというものがあります。簡単に言えばビッグデータを駆使して半自動でデザイン形状生成までしてしまうというものです。また、※BMI(Brain Machine Interface)で直接思考を取り出せるような技術と組み合わせれば、寝たきりの人でも思考ができれば設計やデザインを行えるようになる。それらと3Dプリンターを繋ぐ方向性も、世界では模索され始めています。

※BMI:脳波の測定などを通じ、脳とコンピュータを連動させるインターフェイス

―今まで持っていた3Dプリンターのイメージが一新しました

そう思っていただけるとありがたいです。そのために僕も意識してセミナーや情報配信を行っています。ちなみにブーリアンという社名は、3D形状のモデリングをする際によく使う「ブーリアン演算」から拝借しています。簡単に説明すると、異なる複数の立体形状同士の足算・引算・掛算で新しい形を生み出します。この立体形状は、さっき言った人それぞれの想いであり、それが組み合わされて新しい価値が生まれるイメージです。
いきなり抽象的な話になりますが、僕はすべてのモノが人間そのものに見えるんですよ。正確に言うと人の想いや意志の詰まったものですね。すべてのものには存在する理由があるし、それをつくった人がいてその想いがある。そうした全てのひとのクリエイティビティがもっと重なり合い、形になる世界って素敵ですよね。

写真:ブーリアン様6

―今後の社の展開について教えて下さい

3Dプリンターの活用範囲は製造業にとどまるものではなくて、近い将来では「物をつくる行為そのもの」のインフラになります。世界の先進企業ではすでに様々な開発、投資が国内企業よりも活発に行われています。国内だけでなく世界にも目を向け、3Dプリンターを起点とした全く新しいものづくり、価値づくりを行っていきたいと思っています。

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