Artist

山本作兵衛

Sakubei YAMAMOTO

山本作兵衛Sakubei YAMAMOTO

INTRODUCTION

炭鉱風俗絵(坑内)

明治大正昭和 炭函待ハコマチ

サキヤマ

アトヤマ

炭鉱夫である山本作兵衛が炭鉱の生活を克明に記録した膨大な絵画は、北九州に近接する筑豊地域の炭鉱で働く男女の姿を描いています。炭鉱ではふんどし姿の男が石炭を掘り、腰巻をつけた女がそれを運び、しばしば男女のペアが作業していたことがわかります。坑内は薄暗く、つねに落盤、出水、ガス爆発などの危険と隣り合わせでした。このような過酷な労働が、当時主要なエネルギー源であった石炭を供給し、それが鉄鋼産業、さらには日本の近代化を支えてきたことを忘れるべきではないでしょう。こうした意義を認められて、山本作兵衛の作品は日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録されました。

所蔵(全作品) 北九州市立いのちのたび博物館

PROFILE

1892年福岡県嘉麻郡生まれ。

両親について、7、8歳の頃から筑豊炭田の坑内に入り、約50年間で18の炭鉱を転々としながら働いた。
少年期には一時期坑夫をやめて絵描きを志し、福岡市のペンキ屋に弟子入りしたこともあったが、家庭の都合もあって結局は炭坑で坑夫生活を続けることとなった。このころ以来約40年間は日々の生活に明け暮れる日が続き、絵筆を握ることはなかったという。
60代半ばを過ぎて、本格的に絵筆を握り、2000枚とも言われる炭鉱の記録画を残した。画文集として『炭鉱に生きる』(1967)、『筑豊炭坑絵巻』(1973)などがある。1984年没。享年92歳。2011年5月25日、残した絵や日記など697点が日本で初めてユネスコの世界記憶遺産に登録された。