INTRODUCTION
世界地図
MEGA City
世界地図や飛行機の上から見える万華鏡のような景色。スケールの大きな題材を選びながらも、モチーフを反復する作風は緻密で、細かなディテールまで丹念に描き込まれています。幼少期は、生き物や宇宙、歴史などに興味があり、図鑑や歴史書を読むことが好きだったといいます。自宅の庭に設えられた専用のアトリエでは、色鉛筆300本、水性ペン100本ほどの中から迷うことなく色を選び、定規や消しゴム、修正液などは一切使わずフリーハンドで描きあげます。明るく綺麗な色と形は見事に調和し響き合い、一見して作品から負の感情を読み取ることは難しいでしょう。しかしそこには、言葉になりにくい、心の奥底に残って消えない怖れや悲しみの記憶、不安な心情が織り込まれています。松本にとって描くとは、生きる上で必要不可欠なものであり、繊細で揺らぐ感情を抑制し癒すための行為なのかもしれません。
PROFILE
1991年北海道生まれ、熊本県在住。
2〜3歳の頃から絵を描き始め、3歳で高機能自閉症と診断される。
作品は、その時の興味や関心を反映したものが多く、自分の考えるイメージに変えて描く。
色鉛筆300本、水性ペン100本ほどの中から迷うことなく色を選ぶ。定規や消しゴムや修正液などは一切使わず、繊細で色彩豊かな作品を制作する。
「VOCA展The Vision of Contemporary Art 現代美術の展望・新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京、2021・2025)、「あるがままのアート・人知れず表現し続けるものたち」(東京藝術大学大学美術館、2020)、「アウトサイダー・アート フェア ニューヨーク」(アメリカ、2020)、「日本のアール・ブリュットKOMOREBI展」(フランス国立芸術センター リュー・ユニック、2017)など出展歴多数。パブリックコレクションに、熊本市現代美術館。