About
Outline
東アジア文化都市2020北九州実行委員会(会長: 北橋健治 [北九州市長])は、2021年4月29日(木祝)から 5月9日(日)までの 11 日間、北九州市東田地区(八幡東区)を舞台に「北九州未来創造芸術祭 :ART for SDGs」を開催いたします。
「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs」とは、アートによって持続可能な未来社会への注目をいざない、またよりよい未来に向けての提案を行う「SDGs(Sustainable Development Goals)」をテーマとした芸術祭です。
北九州市は、歴史的・地理的にアジアの玄関口として発展し、国際的に文化が交流し、多くの文化人を輩出しました。現在では多数の美術館や博物観が立ち並び、先進的な文化・芸術の発展を促すまちづくりを推進しています。また、公害克服の経験等を生かし、アジア諸都市と国際的な技術協力や都市間交流を積み重ね、行政はもとより市民レベルでの草の根交流を育んできました。
幕末・明治時代から日本の近代化に貢献した官営八幡製鐵所旧本事務所などの世界遺産を擁する開催地・東田地区。2022年にはスペースワールド跡地にエンターテインメント機能と商業が融合したショッピングモールや新科学館がオープンするなど、新たなまちづくりのスタートを迎えるにあたり、グローバルな課題である「SDGs」にも先進的に取り組もうとしています。
この芸術祭では、日本が培ってきた美的価値観を更新し続ける現代のアーティストの豊かな表現を通じて、来たるべき未来のヴィジョンを世界に発信していきます。世界の最も先進的な環境都市をめざすものづくりの集積地・北九州市はまさにそのような試みにふさわしい場所となるでしょう。また、新型コロナウイルス感染症の影響下で閉塞的になった社会に、イノベーションによって持続可能な発展と交流を生み出すことに積極的に取り組みます。ぜひご期待ください。
Concept
北九州市は2019年、アジア地域で初めてOECD(経済協力開発機構)から「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選定されました。そこで北九州未来創造芸術祭 ART for SDGsでは、アートを通して、SDGsの目標を可視化し、さらにポストコロナ時代の新しい生き方のヴィジョンを世界に向けて発信することをめざします。
日本は古来、自然を愛で、自然と共生する生き方を一つの美学にまで昇華してきました。それは伝統美術に見られる花鳥風月や日本庭園の造形などにも見出すことができます。自然に寄り添う美術は19世紀にヨーロッパを席巻した日本趣味(ジャポネズリー)のモチーフにもなりました。そのような日本文化の特筆はよりよい環境や、平等で多様性をもつ貧困のない社会の実現というSDGsの掲げる目標「持続可能な世界」の構築に、多大な貢献をなすものと思われます。
そこで本芸術祭では廃材を使ったアート、自然や医療につながるアート、多様性社会を表現するアート、最先端のテクノロジーを用いたアートなど、さまざまな作品を招致して、これまでにない独自の芸術祭を構成します。さらに、従来のアートの境界を超えて、科学・技術、自然、福祉、スポーツといった他領域に関わる作品を意欲的に招聘し、新しい学びとエンターテインメントのプラットフォームをつくりだし、地域社会に「創造性」というレガシーを残したいと思います。
SDGsの実現には、経済成長、社会的包摂、環境保護という3つの主要素の調和が欠かせません。本芸術祭はアートを通じて人々に新しい生き方のヴィジョンと考え方を広め、来たるべき社会のよりよい未来を描くことを試みます。
ディレクター 南條史生
-
南條史生(キュレーター)
慶應義塾大学経済学部、文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。
国際交流基金等を経て2002年より森美術館副館長、2006年11月より館長、
2020年1月より特別顧問。過去にヴェニス・ビエンナーレ日本館(1997)、
台北ビエンナーレ(1998)、横浜トリエンナーレ(2001)、
シンガポール・ビエンナーレ(2006、2008)、茨城県北芸術祭(2016)、
ホノルル・ビエンナーレ(2017)等でアートディレクションを歴任。
近著に「アートを生きる」(角川書店、2012)がある。
About SDGs
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界の構築を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
北九州市は、日本の近代化に貢献し、その中で起こった様々な困難を、多様な人々が力をあわせ、知恵と技術を使って克服してきました。そして、現在、2018年にOECD(経済協力開発機構)に「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」として、アジア地域で初めて選定されるなど、「世界のSDGsのトップランナー」として新しい試みに挑戦し続けています。