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第22回議事要旨(平成22年7月3日開催)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000003051

1 日時

平成22年7月3日(土曜日)13時30分~17時00分

2 場所

ステーションホテル小倉 4階 「吉祥」

3 出席者

委員
 
穴井委員、伊藤委員、上田委員、小野委員、門上委員、河野委員、川本委員、篠原委員、 勢一委員、薛委員、辰巳委員、野上委員、藤井委員、森本委員、山田委員

事業者
 
北九州市

事務局
 
環境局環境監視部環境保全課 (環境監視部長他2名)

4 議題

北九州市都市計画道路6号線整備事業に係る環境影響評価準備書の審査

5 議事要旨

 事務局から、環境影響評価準備書に係る手続きについて、縦覧(3名)、貸出(4名)及び意見書の提出(8件)の状況について報告を行った。続いて、事業者から準備書の内容について説明があり、質疑応答及び審査が以下のとおり行われた。

小野会長
 それでは只今より、先ほどの説明に基づきまして審議を始めたいと思います。その前に、今日ご欠席の楠田委員から意見が出ていますので、ご紹介します。

事務局
 事務局の方から、楠田委員の意見についてご紹介させていただきます。
 1、運搬車両による影響について。運搬車両による影響をナンバー5地点でのみ予測しているが、影響が考えられる他のところでも予測しておくことにより、環境影響評価にとってより相応しいものとなる。未定の事項があればできる限り想定して検討していくことが望まれる。
 1-2、工事用運送車両の振動の影響の推定に際し、計算式の適用範囲外なので影響が少ないとしているが、通過車両台数が少なくても、1台の通過により影響が大きいことがありえる。したがって、何らかの対応が望まれる。
 2、工事による濁りの流出について。2-1、工事により排出される粒子の粒度分布はどのようなものであるか、事前にチェックしておくことが望まれる。
 2-2、工事により流出する土砂の曽根干潟への累積影響度を定量的に検討されたい。
 2-3、河川水の濁りの影響を算定する際には、低水流量等、厳しい側の条件のもとで推定することが望まれる。
 2-4、濁りの影響は工事中の排出による直接的影響とともに、この排出物が堆積し、その後再度巻き上げられることによる影響についても、検討することが望まれる。
 2-5、生物への濁りの影響度合いは、生活史の各段階により異なるので生活史を踏まえて検討することが望まれる。
 3、地下水について。3-1、本建設事業中および完成後においても地下水の流れを阻害することのないように、工法等について配慮されることが望まれる。特に圧密沈下が生じる場合には、圧密完了後も水流を確保できるよう努めていただきたい。
 3-2、海域における水位も地下水の流れに影響するので、水位勾配についても検討していくことが望まれる。
 以上3点でございます。

小野会長
 ありがとうございました。事業者として、今の楠田委員の意見についてどうお考えになりますか。

事業者
 今年の4月に、堤防のところでボーリング調査を行ないました。準備書では砂質土の地層と書いておりますが、4月に行った調査でも、透水係数等の試験はしておりませんが、下部のところは砂質土で透水性が高いことを確認しています。
 湧水ですが、干潟のどこから湧いているのか調査は行なわれていないのですが、いろいろな方からの話で湧水が湧いているということは事実です。今堤防のところに、県の工事で6メートルほどの矢板が設置されており、そういう状況の中湧水が湧いています。多分その矢板の下をくぐって地下水が干潟の方に出ていることが推定されますし、今回の圧密層が8メートル位のところですから、やはりその下を地下水がくぐって干潟の方に出ていくものと推定されます。

小野会長
 藤井委員よろしいですか。

藤井委員
 はい、それで結構でございますが、おそらく現時点で考えられるのは、一番下部の透水性の高い砂質層の中の圧力の低い地下水が、海水位が下がって圧力が高くなった時に8メートル分の軟弱な層を突き上げて上に広がっていくのだろうと、地質学的には予想できますが、それがこの場所だというのがあればもっと納得できます。

小野会長
 そういうことも含めて評価書の時に書き込んでいくというのはいかがでしょうか。それで対応してください。はい、どうぞ。関連質問ですね。

山田委員
 工事による濁りについてです。ここで排出される粒子の粒度分布という楠田委員のお考えですが、浮泥のことを言っておられるのではないかと思います。濁りの成分ですが、沈砂池を設けられるので、重たい部分はほぼ問題ないかと思います。沈砂池で沈まない浮泥の部分が問題で、沈砂池で沈殿しないで流れ出た時に、どのような影響を及ぼしていくのかということです。
 もう一つ、この流れ出たものが潮遊溝には流れ出ないと、この準備書には書かれていたのですが、本当に流れ出ないのか、その理由、根拠を知りたいです。ここには沈砂池を設けて凝集剤を適宜添加すると書かれていますが、それだけでは少し解りませんので、潮遊溝やその他の水路に流れ出る場合の影響についてもご説明を頂きたいと思います。

事業者
 浮泥をどうするかという件と、途中の潮遊溝や水田に排水が流れ出ないかについてお答えします。午前中の視察で説明させていただきましたが、現在、空港跡地の造成工事で盛土を行なっています。降雨時の土砂による水の濁りについて、地元の皆さんからもご指摘を受けており、いろいろな対策を取っています。大きい粒子の方は沈砂池でほとんど処理できると思うのですが、これでまだ残っている浮泥をどうするのかという話ですが、側溝を通して排水は外に流れないようにし、ところどころに沈砂池を設けて砂を落とすというような仕組みをしており、最終的に水路に流れ込んで、水路から竹馬川に放流することにしているのですが、最終的にその水路に流し込む前に濁水の管理をしております。
 今度6号線を整備する時も、この参考事例と同じように沈砂池を設けまして、橋脚の工事の時には濁水処理プラント、それから途中、例えば潮遊溝に流れ出ないようにずっと側溝を整備し、河川に直接放流します。また、濁水処理プラントや、沈砂池、規模の計算などは、既に技術的な整備の手法がマニュアル化されておりまして、それに準じて潮遊溝や水路に濁水が流れ込まないようにする措置は取って行きたいと考えております。

山田委員
 主に聞きたかったのは濁水の中の重い粒子ではなく、浮泥についての管理をどうなさるのかということです。

事業者
 浮泥についても、潮遊溝に流さず直接河川に放流します。今回、浮泥は存在するかもしれませんが、河川全体の水量に比べたら非常に小さいものであると考えています。とにかく途中で流さないように措置をしたいと考えています。

山田委員
 途中で流さないということでよろしくお願いします。

小野会長
 工事における濁水対策というのはもう20年の歴史がありますので、ある程度マニュアル化していると思うのですが、やはりそれでも出てくることはあります。大きな河川に少し流すというのは、影響が少ないことにはなるかもしれませんが、そこまで濁水を落としてしまう技術は相当出来ています。
 それでは、その他の項目につきまして、ご質問等審議をしたいと思います。

野上委員
 地点別将来交通量ですが、地点6のところが17,500台で、その次の曽根新田を通る地点7が24,000台と、約6,500台増えています。この6,500台は一体どこから入ってきているのでしょうか。黒原飛行場線を通って約6,500台流入すると考えていいのかということです。周辺道路における現状および将来交通量というところで、地点6が平成17年度18,664台から平成42年度には12,500台まで6,000台くらい下がっています。これが今の旧10号線の数字ですが、要するにその分ここが減っているということなのかということです。
 二番目の質問ですが、これが正しいとすると、旧10号線拡幅ルートの場合には、そこを通る台数は12,500足す24,000で、その計が最大36,000台と考えていいのかということです。
 三番目の質問は、それを36,000台と考えると、地点2と3、一般国道10号線の交通量ですがそれぞれ58,000台とか53,000台という規模の車が通っているのですが、ここが今10号線の交差点は立体交差になっておらず、58,000台も53,000台も捌けているということなので、逆に言うと10号線拡幅ルートが36,000台になったとしても、車線等々うまく工夫すれば立体交差にしなくても捌けるのではないかと考えられるのですが、いかがでしょうか。

事業者
 6号線整備後、地点6から地点7で交通量が増えているのは、ご指摘の通り、黒原飛行場線の分の増加です。黒原飛行場線を今度この6号線と一緒に整備します。それでこの黒原飛行場線から6号線に入っていくということで、地点7では約6,500台が増えるということです。
 それから2点目、旧10号を拡幅するとしたら36,000台になるのかということですが、6号線を整備せず、6号線の地点7の分がそのまま乗るとなると、旧10号を4車線化にしたとしても負荷がかなりかかるため、24,000台のうちの8割方はこの旧10号の拡幅の方に乗り、残りの2割はさらに南側の国道10号の方に走るのではないかということで、恐らく30,000台程度になると考えています。
 3点目の国道10号の交差点のところ、旧10号を拡幅した場合に立体交差が必要という件ですが、現在、国道10号には一日58,000台程度通っています。旧10号を4車線拡幅するとなると、30,000台ということで、これを平面で処理するのは難しく、立体交差をしないと交通の処理ができないことを検証しています。一番近い事例として、旧空港の周辺に寺迫口北という交差点がありますが、そこは国道10号の58,000台、旧10号を拡幅した場合の30,000台よりも少ない交通量ですが、実際には立体交差で処理しております。交差点の処理につきましては、技術的にマニュアル化されておりまして、平面処理で処理できないというのは検証しており、実際に4車線にした場合には立体交差が必要だということは確認しております。

野上委員
 確認ですが、その時の交通の前提は10号線を拡幅した場合、10号線から8号線の方に行く車の方が圧倒的に多いわけですね。

事業者
 いえ、10号線からそのまま真っ直ぐ行く方が多いです。

野上委員
 10号線を真っ直ぐ行く方が多く、8号線に行く車は少ないと。

事業者
 8号線とは都市計画道路名です。曽根方面から行橋方面に行く国道10号にはバイパス朽網交差点があり、ここを立体交差にしなければいけません。都市計画道路の8号線、道路名で言うと門司行橋線ですが、交通としてはこの流れの方が多いことになり、国道10号のバイパス朽網交差点の右折は少なく、まっすぐ行く車の方が多い結果になっております。

野上委員
 要するに、旧10号線を拡幅した場合、曽根側から行橋方向に行くときに、8号線に入る車の方が多いということですね。

事業者
 はい。

野上委員
 その方が圧倒的に多いのですね。そうすると、例えばその方向から見ると左折専用のラインを作っておけば、そちらはいつでも入れるというようなことも可能ではないかと思うのですが、そういうことを含めて検討した結果、絶対に立体でないと無理だということなのですね。

事業者
 はい。

小野会長
 今6号線をなぜ通すのかというのは交通量の問題で、一番基本的なところですから。その辺が完全に理解できないといけないわけです。よろしいですね。河野委員、どうぞ。

河野委員
 生物に関わる環境保全について質問させていただきます。まず植物への影響の回避の点です。道路のルート選定に当たり、植物群落等を回避する計画をしたということで、元々ルート案が4つありまして、今回のルート2は重要な植物群の生息地と綺麗に重なっているという印象があったのですが、その中では出来るだけ工夫をしたということでしょうか。回避するにはベストなルート案があったのではないでしょうか。
 次に、回避できない群落等があるため移植するということになるのでしょうが、その場合重要な動植物の移植に当たり、移植先の場所の選定のプロセスなり基準などを教えてください。
 3つ目ですが、道路の両岸の生態系を出来るだけ分断しない配慮が必要ということで、ボックスカルバートを設置することになっていますが、どのくらいの頻度で、例えば100メートルあたり何本引くのかというのが知りたいです。また、カルバート内の水路と動物が横断するための道がありますが、そこに段差があるように見受けられます。このカルバート内の水路と動物の歩く道が動物の移動を分断する要因になるのではないかと感じましたので、動物が水に落ちてもまた這い上がれるという形にできないかというのが一つと、この暗渠内で採光をする構造があるというお話でしたが、どのような方法で太陽光を取り込むのかというお話をお伺いしたいと思います。

事業者
 まずルートを選定するに当たって、重要な植物の回避を考えたかということですが、まず4ルートの中からどれが一番いいのかという検討の際には、環境に与える影響、その中でも曽根干潟とその周辺の自然環境についてどんな影響があるかということで4ルートを比較しました。それ以外に、既存住宅地、農業への影響、それから幹線道路としての走行性を確保できるか、事業の施工性としてどうなのか、このようなことを検討項目として比較した結果、ルート2の潮遊溝近接ルートが最適だと判断しました。重要な植物の回避の検討については、このルート2を整備するにあたりまして、朽網川河口のハマボウ、大野川河口のシバナがルート上に生育しているということで、まず朽網川河口の親株のハマボウについては避けるようなルート設定とし、道路に当たってしまうハマボウ、シバナについては移植する、こういったことでルートを考えました。
 移植を検討しているのは、橋脚の下の日陰に該当する部分の重要な植物で、移植先としては、橋脚の前後、日陰から出る範囲になると思いますが、実際の移植になる場合は、事前に移植適地等の選定を行ったうえで行いたいと思います。
 また、ボックスカルバートをどのくらい設置するかですが、現在農業用水路が潮遊溝に流れ込んでいまして、その水路すべてにカルバートが付く形になります。カルバート自体の構造はまだイメージ図しかなく、設計まで行なっていません。それらは今後検討します。

河野委員
 ということは、具体的にはこのカルバート設置は何本くらいになるのですか。

事業者
 後背地に当たる部分につきましては、地元の土地改良区で、土地改良事業で整備されたところです。その改良区に確認しておりますが、水路や道路が潮遊溝に向かって走っているところで、概ね100メートルピッチで配置されているということになっています。その全てについて、道路の両端を維持できるように、ボックスカルバートを配置することを考えています。

河野委員
 採光の構造等について、十分な明かりが取れるのかどうかというようなお話があればお願いします。

事業者
 採光につきましては、車道のところはどうしても光を取りこむというのは難しいので、中央分離帯や歩道、両側の緩衝緑地の部分で光が取り込めるような工夫はしていきたいと考えています。具体的に言いますと、36メートル幅のうち、車道が1車線3.25メートルということで6.5メートル部分はどうしても暗渠になりますが、それ以外のところはなるべく光を取り入れるような工夫をしていきたいと考えております。

小野会長
 評価書をこれから作っていくわけですから、ボックスカルバートの中の構造というのはもう決まってないといけません。だからそういう意味でさっきのような構造で良いのかというのは要検討項目です。それは評価書を作りながら考えていくわけですね。

事業者
 工事前には決めていかないといけませんが、いずれにしましても事後調査をさせていただきますので、それで効果があるのであればそのまま工事を進めさせていただきたいと思います。

小野会長
 私の質問は以上です。門上委員。

門上委員
 ルートを検討して、環境的には旧10号線拡幅ルートが良いが、今回は2番の案に決まったということですが、具体的に旧10号拡幅ルートでやると、2番の案に比べてどれくらいコストが高くなって、どれくらい通る時間が長くなるのかというのを、明らかにしていただきたいです。具体的にどれくらいの差でこちらを選んだのかということですね。
 もう一つ道路の構造ですが、基本的に16メートルの道路を箱で囲ってトンネルのような状態にして、道路自体が一切見えなくなるような形の方がかえって良いのではないかと思うのですが、そのようなことを検討されたらどうでしょうか。
 さらに橋脚部分のオカミミガイ等の移植について、この貝が生息しているところに移植するので問題ないということですが、生息密度を増やしても結局淘汰されて、個体数は元に戻るということで、移植しても移植しなくても個体数は変わらないのではないかと思います。移植した分、いわゆる橋脚の下になった場所では個体数が少なくなるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

事業者
 ルートの選定に当たって、旧10号拡幅ルートとコスト的にどれくらい違うのかということですが、今回計画しております潮遊溝の横を道路に整備していくルート2の場合、全体で210億円程度かかると試算しております。旧10号を拡幅した場合、バイパス朽網交差点に立体交差があり、旧国道10号沿いには人家がありますので、用地補償が発生します。ルート2では、土地の購入はありますが人家はないのでその分の補償はありません。そのため、ルート4はルート2より約50億円程度コストが高くなり、事業費がかなりかかります。
 走行性については、竹馬川を渡る前から朽網まで迂回していますので、ルート2とルート4の差は5分程度です。大きな差は出ないのですが、6号線は門司から小倉南までの物流を処理する幹線道路と考えていますので、迂回するルートは回避したいということでルート2に変更したいと考えています。

小野会長
 移植については。

事業者
 移植対象のオカミミガイとナラビオカミミガイは、個体数としてはそれほどたくさんいるという状況ではありません。ご指摘の通り、過密にしたらその分淘汰される可能性は十分考えられます。そのあたりは移植前に再度検討してクリアできるように対処法を考えていきたいと思います。

門上委員
 それと道路の構造ですね。

事業者
 道路は全部トンネルで試算した実績を持っていませんので具体的な数値は言えませんが、例えばルート2のところだけトンネルとした場合、多分この区間だけでも200億円位かかると思います。

門上委員
 トンネルじゃなくて、いわゆる防音壁みたいなものの上に蓋をするだけです。緑地帯などを作らずに、16メートルだけで収め、横に5メートルくらいの防音壁を立てて、外から見えないようにする。

事業者
 防音壁を設置する場合、1キロメートルあたり2億円程度です。竹馬川を越えるところから朽網まで約3キロメートル程度ありますので6億円程度と、事業費としてはそこまで大きくないのですが、防音壁を建てるとなると今度は景観上良いのかということがありまして、市としてはあまり防音壁のある道路整備は相応しくないと考えています。

門上委員
 歩道を造って人を歩けるようにすることが、あまり良くないのではないかと思っています。車で行くだけだったら、車道だけでいいのではないかということです。なぜかというと、ここにはほとんど人が来ないんです。だから動物などが豊富なのではないかと。ここをわざわざ人が歩けるようになって多くの人が来るようになると、賑わってきて、動物にとっては悪いのではないかと思うのですが。

事業者
 ご指摘の点は我々もそうかなという思いがあるのは事実ですが、そういうことも含めまして、この地域で道路を造ることにつきましては、いわゆる周辺が豊かな自然環境であるということで、まず環境に配慮して考えていきましょうというのが大きな視点としてございます。人や車が外から見えないようにするために、両側に緩衝用の緑地をつけることを考えており、一方では周辺の自然環境と調和させるということも考えながら今の構造を考えたということでございます。

小野会長
 それで我慢してください。

伊藤委員
 道路の構造の話ですが、植樹帯の幅がこんなにたくさんいるのかということです。それなりに用地買収費がかかりますし、その植樹帯の効果として特に鳥類と車両との衝突防止の効果であれば、幅を少し狭めてでも対応可能なのではないかということです。都計審でも公共事業の事前評価などでも必ずその事業費の話が出てきますので、その植樹帯の説明がきちんとできないと厳しいというのが1点です。
 もう一つはその道路の両側に植樹帯がいるかどうかということで、道路を見えなくする、全て覆い隠すという発想で両側に設置されているのですが、道路側から干潟が見える方がむしろ環境意識を高めたり、干潟の存在を身近に感じることにつながるのではないかと思います。仮にその植樹帯を一本にした場合に、真ん中に植樹帯があった方が運転する側のアメニティにつながるのではないかなということも考えました。植樹帯を減らし道路幅を少し狭める効果としてはボックスカルバートが短くなるという効果もあると思います。

小野会長
 はい、ありがとうございました。ご意見として承っておきます。篠原さんどうぞ。

篠原委員
 今日は私も久しぶりに、十数年ぶりに曽根干潟に参りました。潮遊溝とそのヨシが非常に素晴らしく発達しており、かなり生態系がきちんと出来上がっていると驚いています。第一に事業者、北九州市にご質問をしますが、この生態系を守り、保存したいと本当に思っているのですか。それをまず聞きたいと思います。この重要性を本当に重要と思っているのか。周りが言うからなんとなくこれは守らなければいけないと思っているのか。その考えを聞きたいと思います。

事業者
 生態系は守っていくべきで、保全していくべきと考えています。道路で全く影響を与えないということはありませんので、環境保全策を取っていくことで、ゼロではないのですが軽減し、生態系を守っていくという考え方には変わりはありません。

篠原委員
 騒音についての基準が書かれていますが、これは人間に対する基準です。生態系は関係ないです。10メートルの緩衝緑地帯を設けたことも、本当にこれでその全体の生態系に問題はないのですか。その騒音が影響を与えないかといった問題は、生態系にとっては全然別のレベルと考えます。緑地帯はもっと取るべきだと思います。なぜかというと、それは離れれば離れるほど、生態系を守れるからです。生態系を守りたいというなら、本当に10メートルで良いかどうか、騒音や振動などをもう少し精査し、動物や鳥類などに影響を与えるかどうかは、シミュレーションをやらないと。人家がないところで、人間の騒音基準で評価するのは全然意味がないことと私は思います。どう思いますか。

事業者
 騒音のことにつきましてはおっしゃいますとおり、人に対する環境基準で評価をしました。動物に対しての騒音等についてどのように考えているかということですが、大きく3つあります。両側に7メートルの植樹帯を設けることで、干潟と後背地を移動する鳥類の飛行高度を上げ、衝突を防止するというのがまず一つです。
 2つ目が、街路灯と自動車のライトが鳥に影響を与えるのではないかと考えまして、それを遮断するため両側に植樹帯を植えます。
 3つ目が、鳥に対する騒音です。明確にこれまで分析された事例がありませんので、はっきり数値的なものでいくらならいいというものがございませんが、今回両側に7メートルの植樹帯を設置することにより、緊急車両のサイレンなども出来る限り軽減して、鳥類になるべく影響を与えないようにすることを考えております。
 委員のおっしゃいましたシミュレーションですが、工事の際に事後調査を行いますので、7メートル幅でどうしても足りないということであれば検証していきたいと考えております。

篠原委員
 事後調査で変更すると、今言われましたね。

事業者
 ええ、もしどうしても影響が大きいということであれば。

篠原委員
 そんなことあり得ないです。今までそんな話は聞いたことがないです。道路が出来上がってしまって、それから事後調査して問題があったら本当に道路を移動させますか。

事業者
 いいえ、道路を移動するわけにはいかないです。

篠原委員
 できないなら、何をするのですか。

事業者
 今ここではお約束できないのですが、どうしても7メートルで足りないということであれば、幅を広げるのが無理だったら、例えばもっと樹木を高くするか、もう少し密に中に入れるなどです。音の問題があるのでしたら、例えば防音壁的なものを中に入れていくなどです。道路自体はもう動かせないので、植樹帯の中でできる対策として何かないかということを、何か影響があった時には考えていかないといけないと思っています。

篠原委員
 影響は絶対あります。いじるわけですから。生態系は長い時間掛けて一定のレベルが出来ています。だからそれにインパクトを加えたら当然何か変化が起こります。例えば鳥が飛んでこなかったら、ネズミが増えて、ということがあって生態系が崩れていく、そういうキーストーンがあって、それを引き抜いたらどっと変わってしまうのです。だから今言ったような影響はないということはないのです。影響があるとわかっていても最小限にするという言い方をしないと。だから10メートルなり7メートルなりもう少しずらすとか、グリーンベルトを広げるとか、それをシミュレーションして、これだったらいけそうだということを確信を持ってやらないと。生態系を守るためにはコストが掛かるのです。それを乗り越えて守っていかないと、北九州市は環境都市とは言えないです。私は北九州市には非常に期待しているのです。そこまで配慮してできるのだと。市民からの意見書を見ると、この生態系を本当に守れるのかと不満を持っておられる。北九州市の意欲、意思が、明確に出ていません。だから音や鳥の専門家の話を聞きながら、もう少しデータを集め徹底して精査しないと。もっと素晴らしいものを残したいという意思を表示してもらいたいです。

小野会長
 はい、ありがとうございました。フィロソフィーの展開でありまして、これは実は都計審レベルの議論なんですね。そこで今のような議論をきちんとやって、その上でここに道路を造らざるを得ないから、ごめんなさいの論理ですが、いかにごめんなさいを言うかという言い方の問題だと思うんです。これは議論すると、環境影響評価審査会そのものが瓦解します。基本的に今の道路を作るという設計の元でどれだけ自然を保全していくかという努力目標を今議論しているわけです。このフィロソフィーは一応置いといて。大変良い事をおっしゃっていただいたのですが、そこを議論するにはここは相応しくないかと思います。

篠原委員
 分かりました。先生の言われるとおり私も議論がずれておりました。ただ一つだけ、最初に言いましたように、騒音の調査をして、これで生態系守っていると言わないでください。人間がいないところで調査しても意味ないですから。

小野会長
 はい、ありがとうございました。実際に、今回事業が予定されている地域は既に相当な面積を人間が開発している場所で、自然が少し回復をしている部分もあるわけですが、まだまだ人間が威張っているところです。その中で自然を大事にしながら、もうちょっと人間の都合を押し通すという姿勢で今事業者は臨んでいるわけですから、それを審査会としては元気付けるというような意味がありますので、その辺よろしくお願いします。
 先ほどは道路の構造や、通行量などもありましたが、関連以外の発言がございますか。

山田委員
 車道のすぐ隣に人が歩く道路があって、そのすぐ隣には木が生えています。それでは人は一体何を見るのでしょうか。車が走る道路を挟んで人が歩くところがあるということで、人が曽根干潟や田園地帯を見たいと思っても、木が遮断してそれらが見えないという状況ではないかと思うのですが。
 道路と人が立つ位置は一緒で、ここの道路は直線でかなり車がスピードを出すことも考えられます。人の安全面を考えた時、少し危ないのではないかということが一つ。また、木々と走る車しか見えないこの道路をどれくらいの人が利用すると見込まれているのかもお伺いしたいと思います。

事業者
 歩道を車道側につける理由ですが、仮に逆にして、植樹帯を車道側、自転車歩行者道を道路の両側に設けた場合、まず問題となるのが、潮遊溝側に設置するヨシ原のすぐ横を自転車歩行者が通ることです。ヨシ原にいるオオヨシキリなどにとっては人間が近づかない方が良いため、それをなるべく離してやる意味から、ヨシ原の横に7メートルの緩衝緑地、植樹帯を設け、歩道を車道側に設けています。
 また、自転車歩行車道にすると照明が必要ですので、ライトの影響を鳥類に与えないように、植樹帯で遮断する役目を果たす意味からも車道側に設けています。
 委員がおっしゃるとおり、車道と歩道が植樹帯の間に挟まれると、歩く人、自転車の人たちにとって干潟、田園部の景色は良いものではないと思います。そのため、干潟を利用する人は堤防の管理道路を通るだろうと想定されます。田園部の方につきましては、田園の中央部に道路がありますので、自転車や歩行される方など田園側の景色を楽しみたい方はそちらを利用するのではないかと考えています。

山田委員
 そうすると、この遊歩道を利用される方はどれくらいの数が見込まれるのでしょうか。代替の道路が現在もあるらしいですが。

事業者
 干潟を見たい方は堤防の管理道路を利用されると思いますが、自転車も歩行者も通れる道路ということで、例えば吉田や新門司から苅田方面に行く自転車の方はこの6号線の自転車歩行者道路を利用されるのではないかと思います。延長も長いことから歩行者の数は期待できませんが、自転車はかなり利用されるのではないかと考えております。

山田委員
 どれくらいの自転車が利用するのか、その見込みはどれくらいでしょうか。

事業者
 申し訳ありませんが、具体的な数値は持っていません。

山田委員
 かなりあるのでしょうか。自動車の渋滞が今切実ということで、この道路を造ろうと思っている、それくらいの強い要望が自転車にはあるのでしょうか。

事業者
 大きな目的は自動車の既設の幹線道路の渋滞緩和です。ここに自転車道を整備してほしいというようなことは特には言われていません。

山田委員
 合わせると4メートルあるわけですよね。

事業者
 片側3メートルなので、6メートルです。

山田委員
 6メートル。それでなくてもボックスカルバートの長さが長いわけですよね。ボックスカルバートを利用するかもしれない動物たちにとって非常に長いので、その道幅が6メートルも減少できれば、少しは良くなるのではないかと思っています。それから事業費も安上がりになるというのが明確と思っています。

事業者
 自転車歩行者の量はデータを持っていませんのではっきりとは言えませんが、少なからず通るというのは間違いないです。そうなると通行帯が無い場合、今の車道を走らせるのかといったことにも繋がるので、必ず自転車歩行車道を設けます。道路の構造基準でも、車道の整備とともに自転車歩行者道も必ず設けるようになっています。それから干潟の景観の視点についてですが、新しい道路の構造ですが、地盤があまり強くないということで、盛土の高さをある程度限定しております。現地盤より最大で3メートル上げることを考えています。そうすると、今の堤防の高さよりも70~80センチ低くなります。それから、海岸堤防のパラペットという波返しが堤防道路よりも1メートルほど高くなっており、恐らく新しい道路から干潟は見えません。緩衝緑地帯が遮る以前に、構造的に新しい道路のほうが低いので、確かに景観的にはちょっと難しいと思っております。

小野会長
 その辺の議論は延々と続く議論です。歩くときの発想と車で走る時の発想は違いますから。歩く時の発想を今おっしゃっているのだと思います。だから一番いいのは、実際に事業者が自分で歩いてみることだと思います。そうすると、どういう道路だったらこれは歩けるのかなということがぴたっと感覚として掴めてきます。だから皆さん、歩いてください。そうすればもう少し良いものが出来るかもしれません。上田委員どうぞ。

上田委員
 昆虫のことですが、ライトトラップで、ケミカルライトというのを使われていますが、これは何でしょうか。
 それからライトトラップの時期ですが、この時の月齢と、温度、気温、天候を知りたいです。これで集まる虫は全然違うわけですから、こういったことは書くべきだと思います。かんかん照りの時や満月の時にライトトラップを行なっても虫は来ないです。リストを見たときに何が飛んでいて、何が飛んでいないのかという議論の時に、希少種の問題についてはこれからますますシビアになってきますから、そこのところをちゃんとやられたほうがいいと思います。
 それから、基本的な種が何も出てこなかったというのがたくさんあるのですが、準備書の表7の7の38の水田生物調査結果でウスバキトンボがひとつ出ていますが、これは成虫だったのでしょうか。また、7の7の32で、トンボは水田生態系北部で17種、南部で11種となっていますが、これはその水田を調査した結果ということでしょうか。

事業者
 ライトトラップのケミカルライトというのは、昆虫採集用に市販されているライトです。それから、月齢、温度や気温については、現地で野帳に記録していますが、こちらにはデータを持ってきていません。

小野委員
 アセスメントの書類としては、データになりますので、気温とか、光の条件などは全部書くべきです。評価書にはきちんと書き込んでください。

事業者
 わかりました。

小野会長
 それから3番目のトンボの種類は幼虫、成虫どちらですか。

事業者
 これはヤゴ(幼虫)です。

上田委員
 では、タガメなどは全然見つからなかったということですか。

事業者
 はい。

上田委員
 分かりました。

小野会長
 はい。それでは次の方。

辰巳委員
 人と自然との触れ合いの活動の場についてですが、河川沿いの道路を利用者はアクセスし、6号線を横断できるようにするということですが、実際どれくらいの横断を考えられているのかを教えていただきたいと思います。その場合にこの横断は、標準断面の盛土がありますが、高さから言ってボックスカルバートの下をくぐってくるというのは難しく、平面交差だと思うのですが、そのあたりの状況について教えてください。

事業者
 構造につきましては、大野川、貫川、朽網川があり、現在利用している方は貫川沿いの河口部を通って干潟の方へ行っています。朽網川沿いは河口部横の道路を通って干潟の方へ行っているということで、現在の河川の管理道と平面交差して行けるように考えております。大体1日に300人から400人くらい干潟に行く方がいるということで、その方々のアクセスは確保したいと考えております。

辰巳委員
 最初の質問は、6号線を横断する道路は何本になるかという質問です。1箇所だけですか。

事業者
 川沿いで干潟に行ける道路は全て確保します。朽網川につきましては左岸、貫川、大野川につきましては両岸すべて行けるようにしたいと考えています。

辰巳委員
 アクセス道路がたくさん設置されているのは非常に結構なことだと思いますし、あるいは今回鳥のために緩衝緑地帯を設置されるわけですよね。そうすると気になるのが、アクセス道路から横断していくところは緩衝緑地帯が切れますが、大丈夫でしょうか。
 交通の立場から言いますと、直線道路にそういった横断する道路があって、全部信号制御するのかどうか。もし信号制御しないとすると、直線道路でかなりスピードも出る中で危ないのではないかと。更にはこの緩衝緑地が、横も見えない、鳥も飛んでこないくらいに密に植樹されているわけです。その横から車が出てくることに対して非常に危険ではないかという気がするのですが。

事業者
 確かに緩衝緑地はその部分については切れるような形になりますので、その部分につきましては効果が発揮できないということになります。
 信号の件ですが、警察との協議の中で、車が来たら適時押しボタンで止めるような、半感応式の信号をつけるかなという話は出ています。

辰巳委員
 少なくとも半感は付けられるということですね。わかりました、どうもありがとうございます。

小野会長
 ありがとうございます。それでは薛委員。

薛委員
 ヨシ原を保護するためということで、ずっと道路に沿って潮遊溝と道路の擁壁と擁壁との間10メートルの細長いヨシ帯を造るということのようですが、私は非常にそれが単調であり、有効かと言うのは今の代替になるのかどうかという意味で、ちょっと疑問に思うところもあります。現状でも直接潮遊溝がヨシ原に接していないところもありますし、幅がもっと広いヨシ帯を潰すわけです。ですからこのように潮遊溝ときっちり平行に道路を作るという考えよりも、若干幅が離れているところ狭いところがあって、広いヨシ帯もあるし、草地に水田状のただの湿地に潮遊溝が接するところがあってもよいというような、多様な場所を作るという考えは持てないものかというのが1点です。
 もうひとつは、断面が2メートル程度の盛土が標準と書いてありますが、貫川は平面で渡るとおっしゃいましたが、最初に見た朽網川は、左岸側の道路はアンダーパスになるような、川と左岸側の道路を越えるような高さに橋が架かるという風に現状を確認したように思います。大野川はいかがでしょうか。また、朽網川が高いところに架かるとすれば、水面の高さからは多分8メートルとか10メートルの盛土ができる格好になるように思いますが、仮にそういうことができるのであれば、境界ぎりぎりまで盛土をするのではなく、一スパン分くらいは高架道路的に下を盛土でない空間、ボックスカルバートだけが移動経路になっていますが、そういう構造も考えてよいのではないかと思います。

小野会長
 はい、わかりました。ありがとうございました。ヨシ原の問題をお答えください。

事業者
 ヨシ原は、専門家の意見を聞かせていただいて検討した結果、10メートルの直線ということにしました。委員がおっしゃる通り、形を変えて、復元した方が良いという意見も頂きました。そのような意見を聞いた中で、この6号線が幹線道路ということから、走行性の面からあまり曲がりくねった道路に整備したくないということがあり、10メートルの直線で復元する措置を考えています。大分の中津で幹線道路の横、幅約1メートルのところにオオヨシキリが繁殖しているという事例もあります。今回10メートルというのが、道路を造る側としてはかなり大規模な復元と考えておりまして、それで対処できる分は対処していきたいと考えているところでございます。

小野会長
 ちょっと誤解の無いように申し上げておきますが、先生はオオヨシキリのことをおっしゃっているのではないのです。ヨシ原そのものが単調になりはしないかと言っている。だから5メートルだったり10メートルだったりするというのはそれは単調でないということなんですね。だからまっすぐな道路に貼り付けるのだから、貼り付け方を少し工夫しますというお答えだったらそれはそれでいいのです。だから1メートルでオオヨシキリが巣を作ったからってそんなに威張ることはないのです。

事業者
 こういう事例もあるので、だからここも大丈夫、ということではないです。
 それから、朽網川が立体交差するというお話をうかがったかもしれないですが、訂正させていただきますと、朽網川、貫川、大野川の両側とも全て平面で交差します。

薛委員
 わかりました。それでは朽網川のところなどは、今の管理道的な左岸の道路に当てるだけでも多分5~6メートルの盛土ではないですか。田んぼ側はどれくらいでしょうか。

事業者
 田んぼの地盤からは4メートルくらい上がります。

薛委員
 そこまできっちり盛土でやるのか、少しお金掛かっても一スパン分くらいを高架的に扱うということで、下がボックスカルバートではない移動経路が確保できるような気がしましたので、これはまだ事業段階ではないのでしょうが、いろいろな工夫がまだあるというふうにしたら良いと思います。

事業者
 これからの検討課題ということで、対応させていただきます。

小野会長
 はい、ありがとうございました。

薛委員
 もう一点、先生いいですか。

小野会長
 はい、どうぞ。

薛委員
 評価書にまとめるに当たってどのように変更できるのか分かりませんが、ルート2がいろいろな環境のことを考えて選んだルートだとは言えないような調査結果になっております。多分これは事業アセスではなく構想段階でのアセスという部類に入ると思いますし、そうであれば想定されたそのいくつかのルートの選択肢の中から、今選んだルートに絞り込んできたということについての、もう少し前提の説明が準備書においても頭の方に少しある方が良いのではないかと思います。準備書ではほんの1行だけ10号線を通るルートについて書いてあるだけで、ルート2が選ばれたことについてはほとんど説明されていません。多分社会面や経済面、環境面を考えて選んでいくのだと承知していますが、社会面、経済面での検討において、ここしかないというような説明が図書に入れられないものでしょうか。この形を見ていますと、従来の事業アセスの組み立てと全く同じですよね。計画路線をこれでいいでしょうか、という場合ですから、ルート2について詳しい環境の影響を検討した、そのルート2が選ばれた理由がもう少しこの文書にもあったほうがいいというのが私の考えです。これについて事務局のお考え、ご意見を伺いたいと思います。

事務局
 複数のルート案を事前に評価するというのは、SEA(戦略的環境アセスメント)の考え方にずいぶん近いところになると思います。そのあたりの考えはもう少し議論をしてみないと、なかなか盛り込みづらいところがあります。SEAというのは国でも法律を改正しているところで、その辺りとの兼ね合いもあります。

薛委員
 今日の説明で、ルート1、2、3が出てまいりました。形式的には10号線を通すとこうなるから、というのが1行書いてあります。そうなったら、生物が一番影響のあるところを通っているのではないかというようなことになってしまった。これはもう上位で決めてしまったと、どうしましょうかという相談を受けたというのであればわかりますが、そうであってもその辺の事情は少しわからないと困ります。この準備書だけ見ると、どうして他の案があるのにここを選んだのかと思う人が多いと思います。意見書でも5番、7番、8番の人はそのようなご意見だったと思います。そういうわけで、評価書を作るに当たって、北九州市型のすばらしい書き振りを考えていただければありがたいと思います。

事務局
 それは大事です。今いろいろ議論されているところなのですが、きちっと計画の段階で評価するという考え方ですが、市の条例等ではそこまで踏み込んだ形になっていませんので、こういった書き方になってしまったというところです。

小野会長
 これから先の問題だと思います。この計画は決められているのだが、やはり今の時代ですから、どれだけ強く環境に配慮するかということを考えながらやってきたのだということを、評価書に書くと良いということですから、これはよろしいのではないですか。入れるのは簡単ですから。

事務局
 事業者とよく相談いたしまして、そういった書き振りにはしたいと思っています。

森本委員
 野生鳥類の対策についてですが、計画路線のうち、曽根新田および陸付近においては絶滅危惧種が数多く記録されており、特に天然記念物に指定されている鳥、コウノトリ、マガン、ヒシクイ等の記録があります。この準備書には、絶滅危惧種や天然記念物についての取り扱いがないみたいです。環境影響評価の中で、特に野生動物の取り組みについてはそこから出発するようなことが、いろんなところで見受けられます。どういう扱いにするかというのをご答弁いただきたい。
 それから、ヨシ原の復元の幅を10メートルとした根拠を知りたいです。先ほど復元面積の数字が出ていましたが、どの程度代償保障が出来ると考えているのでしょうか。それとも面積で従来より広くなるから、そのままでという形になるのでしょうか。それから復元計画は、道路が供用後に発揮されるわけです。これをきちっと引き継いでいってもらえるかということを評価書の中で記載していただかないと、予定では20年先となっていますので、その時は時代が変わって、ヨシ原は十分生育できていないような状態で乱地として残ったということにならないように、引き継いでもらいたいということです。

小野会長
 具体的なところをご回答ください。

事業者
 まず1点目の絶滅危惧種と天然記念物についてですが、今回の準備書の中でナベツル、マガン、オオタカ、マナヅル、ヒシクイなどの対応については危惧種ということで評価させていただいています。コウノトリとサカツラガンについては記載がありませんので、自動車の走行、道路の存在および供用、工事の実施について新たに影響を予測しました。道路の存在及び供用につきましては、生息場所、採餌場所の縮小の影響が考えられます。ただその縮小率は0.15%程度で、影響は小さいものと考えています。自動車の走行につきましては、緩衝緑地帯を設置することにしておりまして、自動車の照明、騒音が軽減され、これについても影響は小さいと考えています。それから工事の実施につきましても、工事における騒音が忌避行動を起こす程度のものかということを考えておりまして、さらに緩衝緑地帯を設置しますので、これについても影響は小さいものと考えています。
 コウノトリやマガン、ヒシクイについては、20年間の調査の中で1羽確認されたということで、これにつきましては移動中に迷って立ち寄ったもので、ここに常棲しているものではないと考えています。それからヨシ原の代償機能が確保できるのか、どのようにして10メートルと決めたのかということですが、代償機能の方についてはこれから検討していくわけですが、10メートルほどを直線で復元しますが、道路によって消失するヨシ原が1.82ヘクタールで、この道路と潮遊溝の間に復元するヨシ原が2.3ヘクタールです。消失するヨシ原よりも広いヨシ原を確保することを考えています。中津等には道路の横でオオヨシキリが繁殖している事例もあります。それからヨシ原の維持管理につきましては、水の供給を断たないようにするのと、ヨシ原が生息する土を持ってきて、維持管理もあまり労力を掛けないようにし、将来に渡って枯れてなくならないよう整備を行っていきたいと考えています。

小野会長
 課題という面からいいますと、色々積み残されていると思います。そして、その積み残された課題に対する回答を書くのが評価書です。これからこの準備にかかっていくと思いますが、それについての回答を書き込んでいく、もしくはデータを揃えていくということになろうかと思います。今日は準備書についての議論をしてもらいました。篠原委員からは誠に基本的なご質問が出ました。これはやはり大自然に対する姿勢だろうと思っていますが、この道路だけに限るとどうしても話が少し矮小化するのですが、大変良いご意見をいただいたと思っております。

この後、事務局から今後のスケジュール説明及び閉会挨拶があり、終了した。

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