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第45回議事要旨(令和元年8月8日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000151398

1 日時

令和元年8月8日(木曜日)14時00分-16時00分

2 場所

北九州市役所本庁舎5階「特別会議室A」

3 出席者

委員
 
藍川委員、荒井委員、伊藤委員、岩松委員、上田委員、大石委員、岡田委員、岡本委員、河野委員、楠田会長、清野委員、武石委員、竹松委員、豊貞委員

事業者
 豊田通商株式会社

事務局
 
環境局環境監視部環境監視課(環境保全担当課長他3名)

4 議題

次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(要素技術実証)計画段階環境配慮書

5 議事要旨

(楠田会長)

どうもありがとうございます。それでは、ご説明を頂戴いたしましたので、審議に移らせていただきます。

今回は、アセスそのものが4回くらいに分かれるのですけれども、配慮書の審査でございます。一番始めの段階です。それで、配慮書ですとまだ事業計画が確定していませんので、文献調査により環境面への影響を比較・検討するということになります。事業者は、今後、予測の項目、手法等を確定することとなりますので、その参考としてのご意見を頂戴する。そして、併せてご審議いただくということに、規定上、なっております。

それでは、武石委員よりご意見書を頂戴しておりますので、直接ご説明いただいてよろしいですか。お願いいたします。

(武石委員)

少し教えていただきたいのですけれども、今回、計画段階環境配慮書ですけれども、市の環境影響評価、条例とか技術指針では、一般的には配慮事項の検討にあたっては、位置などに関する適切な複数案を設定することを基本として、それを設定しない場合はその理由を明らかにするとなっています。

それで、今回の配慮書についてなのですが、事業実施想定区域に複数案が、A、B、Cと出されてありますが、それらの区域が、間がなく隣接していまして、それぞれ大体南北が約2キロで東西が約1.5キロくらいになるかと思うのですが、これらの3つの区画は、この配慮書では、例えば水深ですと54-60メートルくらいの緩傾斜地にあって、底質も3区域ともほぼ同じの細粒砂になっているという図も示されていますし、この区域は外洋にありますので、しかも、それの間隔がなくて隣接しているといことから、風や温度や水流、波浪などの、いわゆる外的環境には特段の差が出るようには思われないと私は思うのです。

それで、海鳥に関してですが、大体時速40-60キロぐらいで通常飛ぶと思うのですが、海鳥に関してはそれくらいの速度ですので、広範囲の面積を短時間で移動・利用して餌を取っているわけです。この場合、配慮書では3区画がカバーする全範囲は、南北が約2キロで東西が約4.5キロという範囲ですので、海鳥にとっては数分程度で通過してしまう範囲になるかと思われます。それで、複数案を提示はされていらっしゃいますけれども、ここに具体的にあるA、B、Cの区画は隣接しているし区域としても狭いので、比較することに何か特段の意味があるのかなと思うわけです。それで、このA、B、Cの区画を設定した理由をお聞きしたいです。

それから、本来は複数案といっても、データもそんなに多くはないかもしれませんけれども、一見して距離が離れているとか、底質環境が違うとか、海底高度が違うとか、距離が離れている海流の条件が違うとか、いろいろそういう物理環境や生物環境が異なる場所を複数選んで、そこで、最初の段階ですから、既存資料しかないかもしれませんけれども、既存資料で比べて、どこがより適切な事業実施区域なのかというのを選ぶ、判断する方法を、判断をしていただきたいわけです。もちろん、事業実施にあたっては自然環境、物理環境以外にももっと、経済的な面、社会的な面での制約もあろうかと思われますが、それはそれで、またさらにそれをかぶせて、実際の事業実施はどこの区域をしたらいいのかというのを、総合的に決めていくことになるのだろうなと、一般的にはそう考えるわけです。

その意味からすると、このA、B、Cというのはあまりにも隣接し過ぎているのではないかなと思いまして、この3区画を複数案とされた理由をお聞きしたいです。

(事業者)

この複数案の設定の方法についてですけれども、本配慮書の事業実施想定区域は、現時点では、事業計画の熟度が非常に低いということで、まだ決まってないところが非常に多いため、現実的な範囲で想定し得る配置案を想定していまして、方法書以降の手続きの中で環境影響評価の回避・低減を考慮して、社会面、経済面から総合的に検討するということが大きな考えでございます。

それで、事業計画の熟度が低い場合の複数案の設定方法ということで、環境省のほうで「計画段階配慮事項手続に係る技術ガイド」がありまして、これはマニュアルですけれども、これの中で、熟度が低い場合の設定方法としましては、重大な環境影響の回避・低減を踏まえまして、現実的な範囲で想定し得る事業計画を設定し複数案を作成することが考えられて、その際には環境影響の程度が比較できるように、位置・規模等バリエーションをもたせて設定するということが望ましいとされております。

本事業の計画段階では、浮体式洋上風車1基を白島の北部海域に設置するということが想定されているのですけれども、我々はこの白島に注目しまして、この白島がオオミズナギドリ等の繁殖地になっておるということで、その北部海域がオオミズナギドリ等の餌場として利用されている可能性が高いと考えました。また、その海域はスナメリ等の海生哺乳類の海域利用の可能性もありましたので、それらの動物への影響が比較できるように複数案として、くっついた状況ですけども、A、B、Cを設定しました。

この3区画というのは、1つはこの浮体式洋上風車の規模といいますか、海域の占有面積、浮体自体は先ほどの100メートル程、規模の浮体ですけれども、そこからチェーンが下にずっと伸びて、直径約1.2キロの範囲で海域が占有されます。なので、そういうものが各A、B、Cに1つずつ設置された場合ということで、そういうことを想定して3区画を想定しております。

最初の大きなこの赤の外側の枠、先ほど先生がおっしゃられた、2キロ掛ける4キロの枠というのは、1つは社会面といいますか海域の利用の面で、船の航行の面から、あれよりも南にいくと航路にかかってしまって、非常に危険だと。これは別途、安全航行委員会が発足しておりまして、そこでの意見を踏まえまして、あの位置にしております。

あと、もう1つは、漁業関係者からのヒアリング等で、あれよりも西側にいってしまうと、漁船の航路の障害とかになるので、我々に許された範囲としましては、ああいう所の中でというところで、概ね、大体の範囲を想定しまして、そこで、先ほど申し上げました、オオミズナギドリの餌場、あとスナメリの海域利用を、バリエーションをもって比べられるように、3区画を提案させていただきました。

(武石委員)

例えば、白島はオオミズナギドリとかの繁殖地ですし、この事前の調査でカンムリウミスズメなど見られたりしていて、水鳥の繁殖地に近い所にこのA、B、Cそのものがあると、仮にこの距離と近いとしたら、複数案としてこれよりもっと遠方で、遠い所にもう1つとか、どこになるか分かりませんが、一般的には距離的に遠い所で、事業が実施可能な範囲でも複数案の中に選んで、それで調査をするなり資料を集めるなりして、比べて、結論はまだあとになるわけですけれども、最初の比べる案そのものが、いろいろな項目、生物的な関係から条件が違うだろうなと思う所をまずは取って2つか3つ選ばないと、この場合だともう密接しているので、繰り返しになりますけれども、あまり調査をされても差異は出てこないだろうと思うのです。

この場合、オオミズナギドリの調査も、調査頻度といいますか、調査日数はそんなに多くかけてないと思うのですが、それを根拠にA、B、Cを比べても、あまり比較にはならないのではないかと思うのです。もっと精度を高く、時間数もかけ、労力もかけ、A、B、Cで海鳥の調査をして、しかも、それで差があるのだったら話は分かるのですが、多分、この基のデータ、示されたのは割と調査日数は少ないと思うのです。

だから、そういうこともあって、複数案を出すときには、明らかに環境が違う所を設定してやっていただきたいとは思うのです。私の意見はそういうことです。

(楠田会長)

よろしいですか。

(事業者)

はい。意見として承ります。

(楠田会長)

それでは、竹松委員、お願いします。

(竹松委員)

今の武石委員に似たような意見があったので、一緒に言わせていただこうかなと思いました。

武石委員が言われたみたいに、離れた所に対象のものを設定するというのは重要だと思うのですけれども、もしA、B、Cの中で設定をするとなったときに、今見たら、このもらったプリントで言うと、28枚目のところのNEDOの昔のデータを使って、33ページのところに、東側のC区画が一番適当ではないかみたいなことを書いているのですけれども、先ほど先生の説明があった、鳥というのは2キロくらい簡単に移動距離の誤差が出てくるということを考えると、このデータは、1つ下の「2-3キロ」の「C海域」のところが一番多いのです。

つまり、白島に近くなるにつれてどんどん多くなってくるということは、結構、調査範囲の位置、ここの位置が多いというのをきちんと意識したうえで、調査ポイントとか調査範囲を実際の時はとらないと、これだけのデータを見ると、確かにこの赤いところだけではCが少ないかもしれないのですけれども、前後を加えるとCが一番多くなるのではないかなと。一番白島に遠いのはAというような形になるので、広い位置をきちんと調査をしてほしいということと、もちろん、今回のこの調査ではなかったBの所も、きちんと同じように入るように、A、B、Cきっちり調査できるようにしていただきたいと思います。

(楠田会長)

ご要望でよろしいですか。

(竹松委員)

はい。

(楠田会長)

ありがとうございます。

ほかにご発言は。河野委員。

(河野委員)

音が生き物に与える影響について、少しご質問させていただきます。

5の8ページ、9ページ辺りに、水中での音の減衰の状況に関する知見がまとめられていますけれど、どういう評価をするかをお伺いしたいです。グラフを見ると、100メートル域までが直線で、それ以降がカーブになって、同じ関数から作ったカーブに見えないので、もしかして合成されているようなものなかどうか。または、たまたまプロットが粗い所を結んだだけなのかというのが、1つ気になりました。

それと、ここで示されています式がありますが、「L=S-N・log10R-α・R」という、この式の中のNというのは「地形損失」と書かれています。それで、例えばこの海域の地形の損失みたいなパラメーターが、何か特定のことが想定されるかどうか、そういうのを反映されているかどうかというのが1つです。

最後、もう1つ。この減衰カーブのカーブだけを見ると、距離がずっと増えても下がりませんね。これは、ここのこういう、この音源から離れたときに、どのくらい音があるかという評価のときに、これにはバックグラウンドノイズが入ってないと思うのです。それで、この説明の当初、周辺の海域での開発状況も併せてご説明いただきました。そうすると、そこからの音源がこの地域でどのくらい減衰しているかというものも併せて、バックグラウンドをずっと数十基、近隣海域で建設される状況をかんがみて、実際にはどのくらいの音になるのかというのを見たいと思います。それでも他の開発している地域より随分北なので、距離が1番以外はほぼ南なので、1番と3番は南ですね。そこからの十分な距離があるから大丈夫だというようなデータを確認していただきたいなと。この音の評価に関して、まず、バックグラウンドと周辺の影響、この辺を少し確認したいと考えています。よろしくお願いします。

(楠田会長)

ご注文なのですね。よろしいですか。

(河野委員)

はい、これからのことなので。

(事業者)

承知しました。バックグラウンドの音も、我々、計測する予定でありますので、そういう調査も進めてまいりたいと思います。

あと、この式につきましても、先ほどの地形損失、この辺も、今は平均的なもので、簡易予測みたいな形でやっておりますけれども、予測についてはもっと精度のいいものを使っていきたいと思っております。よろしくお願いします。

(楠田会長)

ありがとうございました。それでは、岡田委員。

(岡田委員)

1点お願いと、質問1点ですけれども、まず、配慮書の2-6に係留設備のことが書かれていて、まだこの段階では長さが未定ということなのですけれども、方法書の段階では、この長さと本数、材質とか、あと径の太さとか、こういったものをきちっと明記していただきたいということです。

それと、あと風車の図面がありますが、先ほどもちらっとおっしゃっていましたけれども、この係留設備を含んだ全体像が分かるような図面を載せていただきたいということです。だから、恐らく直径1キロ以上の直径の中に係留施設が配置されると思うのですけれども、それが分かるような図面で、土木の分野では高さと距離を、スケールを変えて表現することが多いですけれども、そうすると正確に認識できない場合があるので、スケールアウトしない同スケールの図面を載せていただきたいと思います。

それと、あと質問ですけれども、先ほどの質問とよく似ているのですけれども、先ほど冒頭に説明がありましたこの資料、「北九州周辺における洋上風力発電施設」の図がありますけれども、2番、先行する浮体式の風力発電に近接して設置するわけですから、実証実験ということで、何が違うのかということですね。先行している風力発電と比較すると、浮体形式であるとか、ブレードの状況であるとか、出力が少し違うようですけれども、それだけなのか。やはり、こういったものを設置するだけで、社会的にも環境的にも何らかの影響を受けるわけですから、同じような場所で同じような浮体式の風力発電で実証実験するという意義というか、目的というか、何を実証されたいのかということをもう少し詳しく説明していただきたいと思います。

(事業者)

今、既に既設のバージ型についても、これは2枚羽根だったと思うのですけれども、風車自体は似ているのですが、大きく違うところは出力で、バージ型のものは3,000キロワットに対して、今回は6メガワットです。それから、浮体の形式が全く違っておりまして、今、NEDOさんでやろうとしているところというのは、まさにこの浮体の部分で、日本の広い海域の中でいろいろな環境の違いがあって、その中でどういった形の浮体が適しているのかということを実証していくという目的がございます。そこで、バージ型と風車自体はそれほど変わらないし、設置場所も極めて近い所ではあるのですけれども、簡単に言ってしまえば、今のバージ型と今回の浮体と比較してどちらが適しているのかというところの比較が目的になります。

(岡田委員)

それが目的ですね。ありがとうございます。

(事業者)

はい。

(楠田会長)

ほかに。荒井委員。

(荒井委員)

私も、先ほど武石委員から質問があったように、A、B、Cの所の設定の条件が何だろうかなと思って、動物あたりから見たら非常に狭い範囲ですので、すぐ動けるので、それが1つ疑問でしたけれども、本論はスナメリです。確かに、藍島と白島を結んだ線より南側で多く観察されているのですけれど、私が聞いたところによりますと、藍島、白島を結ぶラインよりも北側においても、ごくまれですけれども、スナメリを確認したことがあるという情報があります。評価のところで書かれているように、「方法書以降の手続きにおいて、現地調査を踏まえ影響を予測し、環境保全措置を検討する」というのをしっかりやっていただきたいと思います。要望です。

(事業者)

承知しました。確かに、既存資料レベルではあまり見られてないのですけれども、先生がおっしゃるように可能性もありますので、その辺は広い範囲をもって調査していきたいと思っております。

(楠田会長)

ほかに、ご発言はございますでしょうか。清野委員。

(清野委員)

少し伺いたいのですが、オオミズナギドリはどういう形で飛翔して移動するという認識でおられますか。

(事業者)

大きな特徴としましては、非常に低い所を飛ぶ。そんなに高くは飛ばないのですけれども、特性としては低い所を飛ぶということで、我々は、バードストライクはそれほど起きないのではないかという位置付けで見ております。あと、魚食性なので、海の魚を食べるということで、餌環境として、風車を設置することで餌環境が変わるかどうか、その影響はどうか、それによってオオミズナギドリに対する影響はどうかというような形で見ております。

(清野委員)

低い所を飛ぶというのは、力学的にどうやって飛ぶのですか。

(事業者)

今までの既存資料の知見ですと、風車の当たる高さというのは大体20-160メートルくらいが回転面になりますので、オオミズナギドリの飛翔は大体その20メートルより低い所を飛ぶというのが既存資料で分かっておりますので、既存資料レベルではそういう形で認識しております。

(清野委員)

釈迦に説法になりますけれども、オオミズナギドリは本当に微小な気流を使って、ソアリングして飛んでいくのです。ものすごい微妙な風の場をつかまえて移動していくのです。まず、そういう認識ですので、生物学的に捉えていただく部分だけではなくて、文字通り風力学的にものすごく重要で、環境条件の中でも風力学のところをすごくシビアに見ていただく必要があるのです。先に質問から差し上げたのは、ぱたぱた飛ぶというような飛行方式……だから羽ばたくという方式よりも、体の構造がそういう形で風をとらえて飛ぶので、そこはやはりよく認識していただく必要があると思います。

その上で伺いますけれども、今回、大規模なブレードでその空気の場が攪乱されることになると思うのですけれども、その影響範囲はどうやって評価しますか。

(事業者)

通常、ウエイクといいまして、直径の3倍くらいですか、その辺が影響域としてありますので、それまでは通常の気流の基準ですけれども、その直径の3倍から4倍程度以降は乱流といいますか、流れが変わっていくというような状況になりますので、そこが変化される場所と認識しております。

(清野委員)

直径の3倍の場合、それはもっと3次元的に言うと、もう少し詳しく教えてください。

(事業者)

例えば直径が、今回の風車で140メートルなので、140メートル掛ける3の後方です。

(清野委員)

後方ということで、上下方向は。風洞で真正面から風を当てて評価するだけではなくて、自然界の風はもう少し3次元的に吹いてくると思うのです。そういう場合、どうやって評価するのですか。

(事業者)

流体的な変化の状況につきましては、3次元的な風の風車が回ることによる影響というのは、概略的なことしか分からないのですが、3次元的なものでは細かくは把握してないですけれども、ただ、3倍なりの風車の鉛直を含めて、そこは影響域であるだろうとは考えております。

(清野委員)

今回、風力学的な検討をされる場合に、ぜひそこは考えていただきたいと思います。つまり、鳥類の専門家が懸念している現象と、工学の人が何を評価すべきかというところを、今回は本当に擦り合わせないと、この洋上風力案件は、結構、お互いに無駄な議論が多くなってしまう気がするのです。

オオミズナギドリとか海鳥の形を見ていただければ、本当に風力学をやる人がいたら、何が影響しそうかということとか、鳥を見てきた人が何を心配しているかが分かると思うのです。これだけの巨大な構造物が設置されて、回り始めた時に、周りの場の風の攪乱のボリュームというのはすさまじいものになるのです。それは、風洞の中に入れて、後ろにどのくらい乱流が出るというだけではなくて、もっとこういった複雑な天然界で風の場が乱されたときに、その海面すれすれに飛んでいく鳥たちというのは、影響を評価するときに、ぜひそこは考えていただきたいと思います。

例えば、飛翔の高さが低いということは、ぱたぱた羽ばたいて低いということよりも、そういう意味なのです。海面の微小な上昇気流とか、そういう微妙な気流とかもつかまえながら飛んでいくので、それを前提とした鳥の生態系があるので、そこに巨大な、いつも攪乱されている場が生じた場合には、予測不能な場になってしまうと思うのです。例えば、天然の島があって、その後ろに風の場ができるというものに関しては、固定的なものですからある程度認識ができますけれども、風車のように止まっている場合もある、回っている場合もあるとか、定常的に評価しにくいような物が出来たときに、私も工学ですけれども、どういうふうに工学分野は評価していくのかというのは考えていただければと思います。

ほかの洋上風力案件でも、常に鳥の問題の指摘と事業者側の鳥の生態に関する認識がすれ違ってしまうために、ものすごく膨大な調査が事業者側で必要になったりとか、逆に、そういう問題というのも出ているので、そこを検討いただきたいということになります。

そうなると、あまりシンプルに、影響のリスクが低いとか、環境保全措置をとるというふうに書いてしまったときに、ではどういう対策があるのかということが考えにくくなると思うのです。だから今回、いろいろな検討をされる中で、今後、風の場の乱れ方に対しての議論は高まっていくと思いますので、ぜひそういう観点からも検討いただけたらと思っています。

(事業者)

ありがとうございました。承知しました。

(楠田会長)

流れの場における乱れの拡散は、普通の船のプロペラに始まり、飛行機のプロペラもそうですけれども、普通のCFDで計算が可能で、乱れができたときには、乱れの拡散速度というのがあって、ある式が普通の流体力学では出ています。ですから、そういうようなものがもう既にあります。

それと、もう1つは、洋上風力のものは日本各地で出来上がっていますから、同じようなご質問がやはり違う所でも出ていて、それぞれそのご質問に応じ、あるいは、その地域の特性に応じて検討されていると思いますので、他のレポートもご参照いただければ、いい知恵が出るかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

(事業者)

承知しました。ありがとうございます。

(楠田会長)

ほかに。それでは、豊貞委員。

(豊貞委員)

先ほどから、事業実施区域のご意見がたくさん出ていたと思うのですけれども、私ももともと2番の既存のNEDOがある、その近くにさらに3区域とも近くということで、疑問に思っていて、そしたら、先ほどご回答で、バージ型との比較が目的の1つであるというような感じのことを言われたと思います。そうであれば、事業目的のところを読むと、それを書いてないのですけれども、そこに書いていただければ、「ああ、それでこういうふうに選定しているのだな」と。メインの目的ではなくても、同じような状況の所で別のシステムを比較するということも1つということであれば、納得しやすいのかなと思いました。

(事業者)

すみません、私の説明が悪かったかもしれないのですけれども、比較自体が目的というよりも、要するに、どういった技術が最適なのかということを個別に検証していく。当然、その中でいろいろなタイプの比較というのは出てくるので、先ほど、比較と申し上げたのですけれども、バージ型と今回のものの比較ではなくて、いわゆる、浮体の形式のいろいろな技術をそれぞれ検証して、どれがどこで一番適しているのかということを検討するというのが事業目的です。なので、既設のものとの単純比較ということではないので、比較するために今回の設置区域をここに決めたわけではないのです。

(豊貞委員)

そしたら、その条件がある程度同じような所がいいというわけではないということですね。50メートルから100メートルというところは統一されていると思いますけれども、それ以外は。

(事業者)

そうです。いずれも比較的浅い海域での実証研究というところでは共通しておりますが、全く技術的には異なったものですので。

(豊貞委員)

先ほど、航路の問題を一番おっしゃっていたと思うのですけれど、航路の問題でこういうふうになってしまっているというところですか。

(事業者)

そうですね。航路もそうですし、あとは漁業ですね。そういったことを総合的に考えて、今回のこのA、B、Cの辺りが適しているのではないかということです。海底ケーブル、それから、その開閉所についても、一定の、例えばこのA、B、Cのいずれかに決まった場合、共通で使用できる部分も出てくるかと思いますので、そういった意味でも、今回、このA、B、Cを候補海域として挙げさせていただいております。

(豊貞委員)

分かりました。ありがとうございます。

(楠田会長)

ありがとうございました。

ほかに。それでは、上田委員。

(上田委員)

私、市にお願いして、北九州周辺における洋上風力発電の施設の総合的な、今からどうなっていくかということを一応書いてもらったのですけれども、例えば、今回、アセスとか調査とかしますね。そのときに、4の地点の調査をするときには、実際にできているのはまだ2の部分だけですね。だけど、実際にこれが立つ頃、もしくは同時かもしれませんけれども、その頃にはこの3の辺りにもずっと20基-30基とか立っていくわけですね。そうしたときに、総合的な影響というか、例えばスナメリが移動するコースを変えるとか、50メートル以浅のほうが好きかもしれないけれども、あまりたくさん立っていたら、泳ぎにくくて遠回りしていくとか、例えばオオミズナギドリもコースを変えるかもしれませんね。大幅に変えなくても、結構、この結果とは違う結果が出るかもしれません。

そういう影響とかいうのを、誰がどんなふうにして見ていくのか。例えば、今回、NEDOさん、豊田が、それを全部やるというのは大変だと思うのですけれども、そういう感覚でアセスしないと、現状と違うアセスになるようなデータの取り方、考え方が違うようになると思うのですけれど、どう考えていったらいいのかというのに対して、できたら委員会としてご回答いただきたいのです。

(楠田会長)

それは、今の環境アセスメントが現状からの変化になっていますから、細かいものをたくさんつくっていったら、現状はどんどん、どんどん、上がっていくわけですね。それが、いわゆる今のアセスの限界なので、その地域として総量で、例えば廃棄物だったら、ガスだったらいくら出せばいいというのを決めておいてもらって、そのうち幾ら使いましたという、これが限界というのだったらいいですけれど。だから、そこが、いわゆる公害の時代に生まれたアセスのこの法律が、そのまま基本的にコンセプトとして保たれていると、全体の環境に対して幾らという、環境容量の範囲内で使うという発想にはなってないわけです。トータル幾らまで出していいとか、音も幾らまでいいので、今回はこれまで使いますという、残りこれだけという表示は全くないですね。現状に対してこうとか、まあ、絶対基準として出ているものもありますけれども、そこまでということになって、特に排出物の蓄積みたいな、あるいは、濃度の増加みたいなところのものは、今のルールではまだカバーしきれてないという理解なのですけれども、ご専門の藍川委員、そういうことでよろしいですか。

(藍川委員)

それに対する答えは私としても難しいですが、専門が大気なので、大気について言えば、新たに煙突を立てるといったときに、周りに同じような建設が進んでいたら、それを含めて考えるかという意味では、煙突が立ち、排出する物質もはっきりして拡散予測もしやすいですが、相手が本件のように動くかもしれない、泳ぐコースを変えるかもしれないという場合には、確かに会長が言われるように、限界の部分ではあるのかなと個人的には思っています。どこかで統一的に示されている見解かと言われると、そうではなく、個人的に思っているところです。

(楠田会長)

ありがとうございます。ですから、北九州市の管轄にあるのだったら、市のトータルの環境として、上田委員がおっしゃられるところは把握して、全体としてどうなっているかという評価を別途やればいいですよね。個々の事業に対するアセス以外に、市側の環境の評価として、全体がどうなっているというのを別途調べる手はあると思います。そうすると、累積が全部入ってきますから、トータルとしてどういう影響が出ているかということになります。

フォローアップをしてくださらないところで、それっきりというところですと、そのあとの影響は「分かりません」ということでいってしまいますので、あと、例えば10年後にどうなって、20年後にどうなっているというのは、行政側としても仕事でないと言いきれないところがあるように思います。

(上田委員)

フォローアップでですね。

(楠田会長)

今、ご指摘のところは、極めて重要で、今のルールでは難題なのです。

貴重なご意見、ありがとうございました。ほかにご発言ございますでしょうか。

(岩松委員)

実は、私も同じことを考えていて、それで、今お答えいただいたので、総合的な計画というか、これからの検討課題ということで納得はしましたが、やはり、事業が立て続けに数年以内に起こっていて、今回の実証事業もやはり、今後また複数の事業になっていくとなると、かなり急な変化が起こるのではないかと思っていまして、やはり、この年度計画ですとか、全体の計画を考えたうえで進めるということにしていったほうがいいかなと思います。

あと、もう1つ気になっていたことも関連するのですが、例えば、この近くの藍島や馬島などの住民の方々にとっては、多分、この急な変化というのが、景観的にも、また漁業的にも急に起こってくるということが思われまして、そういった、住んでいる方々の立場に立った全体計画であってほしいなと思いました。また、景観に関しても、若松からの景観に加えて、島からの景観ですとか、そういう人々の視点からの追加調査があったらいいなと思いました。

(楠田会長)

ありがとうございます。事業者の方は1個1個で申請されますから、来年幾つ出ますという計画が立てられないのです。国営企業ばかりだったら、ばーっと簡単にいくのですけれども、自由主義経済下でやるときには、幾ら出てくるかは分かりません。出される方の考え次第で、それは今の経済システムだと避けられません。だから、トータルで容量を決めておいたら、もう枠がいっぱいと言って断ることは可能です。

(岩松委員)

それはないのですか。

(楠田会長)

それは、現在の法律上は、総量規制とかという考え方はもう既に使っているところはありますけれど、この環境アセスの新しい事業を立ち上げていくときに、環境容量がいっぱいで、もう駄目ですというのは、ほとんど聞いたことがないです。

それでよろしいですか。

(岩松委員)

はい。

(藍川委員)

スライドの14番のところに、「工事期間」というのが記されていて、風車の据え付けあるいは変電所設置工事が書かれていて、陸上での作業というのにそれなりに期間が設定されているように思いますが、大型重機とか、クレーンとかを使用されて、つまるところ、それらの機材からの大気への影響について記載が全くないですが、それについては考慮する必要がないでしょうか。

(事業者)

陸上の変電所設置工事、これは、線は引いて、長くはなっているのですけれども、実際の工事はこれほど長くはないと思うのですけれども、まだ想定でございまして、未定でございます。なので、今までの既存のバージ型とか、そういうものを参考に決めていくのだろうかと思いますけれども、特に、陸上の工事が大気への影響とか振動とか、そういうものは、今のところは考えておりません。

(藍川委員)

変電所の設置というのは、今回は一応想定はされているということで、今までの事例の中で考えられてなかったので、今回も考えないというご説明だったと思いますが、これまでの事例の中で変電所を新たに建てていないのであれば、考慮されていないのは当然で、今回それを建てるということであれば、前の事例は参考にはならず、今回は新たに考えないといけないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

(事業者)

言葉を修正させていただきます。「変電所」ではなくて「開閉所」で、実際の規模は非常に小さなものを想定しております。

(事業者)

代わりに回答させていただきます。これはまだNEDOの実証試験で、商業機ではないので、今回もなるべく設備としては小さく、小さく、できれば、例えば、今あるバージ型のものとの併用ですとか、そこは今から計画していくところで、まだ決まってはおりません。変電所ではないと思います。開閉所といって、陸上にケーブルを揚陸して、つなぎ込むだけの設備をここには書いておりまして、「変電所」は誤記だと思います。

(藍川委員)

必要ないということを将来示していただければ、それでいいと思いますが、「変電所」と書いてあって、8カ月くらい工期期間があるということは、かなり負荷があるものかなと想像してしまいますし、12カ月のうちの8カ月も何かを造るのに、機材を入れてするのであれば、影響を考えるべきではないかと思いましたけれども、そういう短い期間の軽微なものであるということを示していただければ、それでいいのではないかと思います。

(楠田会長)

よろしゅうございますでしょうか。

伊藤委員、お願いします。

(伊藤委員)

少し利用者側の発言かもしませんけれど、140メートルというのはすごく大きくて、人間が立てばものすごく大きいのですけれども、例えばこれが海洋スケールだったら、多分、この消しゴムくらいなのです。それをここに置いたからここに影響があるかといったら、多分、ゼロではないけれどもほとんどないという感覚ですね。そのスケール感というのが、見方によってものすごく違ってくるので、人によっては、ここだけ見たら、「いや、いろいろあるよ」と言うし、「こんなスケールでこれだから、関係ないよ」というスケールもあるし、私もこの前、電源開発の風力発電のてっぺんまで上ってきたのですけれども、当然、大きいです。この、今、いろいろ影響あるところを心配していたら、きりがなくなって、議論がどこまでもいってしまうのですけれども、最終的に、例えば鳥に対して影響があったときに、何を影響があったかという指標がありますよね。例えばコースを変えただけで影響があると言うのか、バードストライクが影響だと言うのか。そうしたときに、そのデータを最終的に採れるような工夫をしてほしいと思うのです。

そうすると、今まで心配していたことが、実際はこうだったよというのが採れると。だから、例えばその風力発電の上にカメラか何か付けて、バードストライクを撮るとか、あるいは鳥が来てコースを変えているとか、そういうのを最終的に採ってもらえれば、多分、あまりデータがないので、心配、心配と、こうなってしまうのだけれども、これは実証研究ですから、そういうデータを採って、先ほどたくさんできたときに影響がというときにも、説明がしやすいようなデータを採ってほしいと思いますということです。これは要望です。

それから、これは環境影響評価とあまり関係ないのですけれども、この組織図を見たときに、少し抜けているのではないかなと思うのが、1つはこの新しい浮体設備なのですが、あそこら辺はすごい台風が来たりすることがあるのです。そのときに、例えば昔、白島の石油備蓄のケーソンが台風でひっくり返ったことがあります。だから、想定外のそういうことが起こって、もしかしたらこの風車が傾いて海の藻くずになるかもしれない。可能性はありますよね。そのときどうするかという、そういう危機管理の対応をする組織はどこなのか。ここは100メートルとかになると、潜水士もほとんど動けないのです。

その、海の藻くずになったらそのままでいいのかという話と、それと、ケーブルが長いです。これをメンテナンスしたり何かあったときにどうするかというのが、結構大変なのです。多少関与しているのですけれども、電源開発は近い所で洋上をやっていますけれども、それでもいろいろやっています。これだけ長いと、何かあったときにこのケーブルはどうするのか。それは、環境影響評価に関係ないからというふうにするのかとか、これからになると思いますけれども、この組織の中にそういったメンテナンスだとか、そういう何か事故があったときの対応組織がどこか、責任者はどこなのか、真面目に検討されているのかというのは少し懸念がありますので、一言申し上げました。特に、ご意見は頂かなくても結構です。

(楠田会長)

貴重なコメント、ありがとうございました。

ほかにご発言は、よろしゅうございますか。清野委員、お願いします。

(清野委員)

先ほどの小規模だけれども、累積する開発についての評価ですけれども、これは多分、後発組の運命で、前の人が影響していくものが、どうしても後発組には影響するという前提で、そのバックグラウンドをどういうふうに採るかということもあらためて検討いただけたらと思います。つまり、実証実験される場はそういう場だという認識をあらためてしていただきたいということです。

それから、海洋工学の世界でもされていると思いますけれど、もう、この響灘海域は海洋空間計画のMSPをきちんとしたほうがいいと思うのです。本当にいろいろな、洋上風力だとか航路だとか、漁業、生態系、ものすごくいろいろな海洋空間をさまざまなセクターがさまざまな形で利用しますので、それに関してはぜひ、これが実証実験であるということと、NEDOさんのプロジェクトであるということで、MSPとの関係でどうあるべきかということも検討いただけるのを希望します。この事業の体制の中に、先ほど見せていただきました、評価だとか検証だとか自体を担当される方が入っているということであれば、今後、やはりこの海洋工学の領域で必ずMSPは出てくると思いますので、ぜひ、国際的にももうMSPは、特に島国に関しては始まっています。日本は逆に後発というか、そういう状況ですので、そういう面でご検討いただければと思います。

その場合は、多分、先ほど先生方からありました、統合的な評価の欠如に関しての回答というのは、国際的にはどういうアプローチをすべきかということも出ているはずです。また、それに関して、環境省の環境影響評価という部分では、統合的な検討というのは、先ほどの制度的限界がありますけれども、海洋基本法とか海洋基本計画の中で、沿岸域の総合的管理の枠組みの中では、今日議論にあったようなところというのは、本当に国としてきちんと取り組むべき案件となりますので、エネルギー関係だけではなくて、内閣府とかそういうレベルになりますけれども、この海域はそういった非常に重要な、かつ、先進的な地域ですので、検討いただけたらと思います。

また、北九州市さんのほうもSDGsということで、それを標榜して頑張るということですので、まさにこういった輻輳する問題をどういうふうに統合化して解決するのかというのと、新しい枠組みをつくっていくのかというのは、事業者さんと、かつ審査側の、あるいは、この場を持つ側の全員の今後の方向性だと思いますので、ぜひそういった面から非常にいい検討をしていただくことを期待したいと思います。

(楠田会長)

ありがとうございます。個別の事業者さんからの申請ではなくて、NEDOの実証試験だというので、こういういろいろ追加の要望がたくさんございますけれども、できるだけおくみ取りいただければありがたいという感じですね。

それに併せて、私も悪のりしているところがあるのですけれども、この発電施設の音に関しまして、デシベルではなくて、どんな音が水中で出るかという周波数スペクトルをお示しいただけないかなと。というのは、生物それぞれに、クジラのように高い音は聞こえないものもいれば、イルカのように高いのが得意な生き物もおりますので、水中生物については単純デシベルで決めることができない世界ではないかと。とにかく今の環境アセスのものは、人間の可聴域に対するデシベルの話で、生物保護上はほかの生物にも少し、音の配慮という意味で、どういう切り口があるのかなというのが気になるものですから、もし可能でしたら、よろしくお願いします。

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